経営学とは何を学ぶ学問か?経営学入門

経営学

経営学とは

経営学は何を学ぶ学問かといえば、会社の経営について学ぶのが経営学です。

会社に関する学問には、経営学の他にも会計学や法学(会社法)などがあります。

その中で、経営学は会社の経営をいかに効果的に行うかを考える学問だといえます。

経営学の全体像

経営学には以下のような分野があります。

経営学には、①企業形態論、②経営管理論、③経営組織論、④経営戦略論、⑤財務管理、⑥マーケティング、⑦マーチャンダイジング、⑧人事労務管理、⑨生産管理、⑩経営法務、⑪経営情報システムなどの分野があります。

これらをざっくり分けて説明すると、①から④(企業形態論、経営管理論、経営組織論、経営戦略論)までがいわゆる総論絵的なお話で、⑤から⑪(財務管理、マーケティング、マーチャンダイジング、人事労務管理、生産管理、経営法務、経営情報システム)までが各論的なお話になります。

後半の各論の部分は、営業部や人事部、経理部、法務部といった会社の部門ごとに何をしているのかとか、何をすべきかを考えることになります。

たとえば、営業部の話を考えるのがマーケティングになりますし、人事部だったら人事労務管理、経理部だったら財務管理、法務部なら経営法務というイメージになります。

以下に簡単にそれぞれの分野について説明します。

企業形態論

まず、企業形態論は、会社の分類に関する理論です。

会社について規定しているのは会社法なので、半分は法律のお話になります。

合名会社、合資会社、合同会社、株式会社という会社法上の会社のほか、相互会社という保険業法上の会社についても学びます。

株式会社は出資者が限られた有限の責任しか負わない会社のことです。

株式会社は有限の責任しか負わない株主が経営のプロである取締役に経営をお願いする仕組みです。

このお願いされる経営のプロを専門経営者といいます。

そして、株式会社の出資者である社員としての地位が株式です。

この株式の権利として自益権と共益権があります。

そのほかには、カルテルやトラストなどの企業結合、ベンチャー企業、企業統治といわれるコーポレート・ガバナンスなどについて学びます。

経営管理論

経営管理論は、会社の管理の方法に関する理論です。

伝統的管理論であるテイラーの科学的管理法、ファヨールの管理論のほか、モチベーション理論などについて学習します。

モチベーション理論とは、従業員のやる気(モチベーション)をいかに高めるかを研究する理論です。

このモチベーション理論の1つにマズローの欲求5段階説があります。

そのほかのモチベーション理論には、成熟未成熟理論、X理論Y理論、期待理論などがあります。

経営組織論

経営組織論は、会社という組織の枠組みに関する理論です。

近代組織論としてバーナードの組織論、サイモンの意思決定論のほか、職能別部門組織や事業部制組織などの経営組織の形態について学びます。

経営戦略論

経営戦略論は、戦略という会社の方向性の決め方に関する理論です。

M&Aによる多角化戦略やPPM、ポーターの競争戦略などを学びます。

M&Aとは合併買収を意味し、他社の経営資源を活用する方法の1つです。

このM&Aの手法にTOB、LBO、MBOがあります。

PPMはプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略で多角化した事業の評価についての理論です。

このPPMの前提となるのが製品ライフサイクル仮説です。

会社の方向性を決めるのが戦略ですが、生き残りのために技術革新であるイノベーションを(継続的に)起こすというのが正しい方向であるとされます。

このイノベーションに関する戦略をイノベーション戦略といいます。

そして、戦略を立ててみんなを引っ張っていくのはリーダーですので、リーダーシップについてもリーダーシップ戦略として学んでいきます。

また、経営では不要なものを壊して、必要な分野に打って出るというスクラップ・アンド・ビルドも時には必要です。

そのための経営革新手法としてリストラクチャリング、BPR、コアコンピタンスなどがあります。

また、戦略の方向性として海外に打って出るというというのが企業の国際化です。

この国際化には水平的国際化、垂直的国際化などのタイプがあります。

ここまでが総論です。

財務管理論

ここからが各論の話になります。

財務管理は、会社の資金に関する理論です。

会計学(財務諸表論・原価計算)と一部重複する分野であり、財務部が担当する財務(ファイナンス)と経理部が担当する会計(アカウンティング)について勉強します。

マーケテイング(販売管理)

マーケティングは、販売管理ともいわれ、広告宣伝など商品の販売に関する理論です。

部門としては営業部やマーケテイング部、広報部、広告宣伝部などが担当する分野になります。

担当する部署の多さからもわかるように各論の中では重要な分野になります。

マーケティングの4つの要素のことをマーケティングの4Pといいます。

マーケティングの4Pの1つであるPlaceというのはチャネルといわれる流通経路を意味します。

このチャネルについての戦略がチャネル戦略であり、チャネル戦略に関連するものとしてフランチャイズチェーンやボランタリーチェーンなどのチェーン方式があります。

マーケティングを実施する場合、(前述の)製品ライフサイクルの段階に沿ったマーケティングが必要になります。

マーチャンダイジング(仕入管理)

マーチャンダイジングは、仕入管理ともいわれ、商品や原材料・部品の調達に関する理論です。

マーチャンダイジングは、マーケティングと対をなす分野であり、部門としては購買部や資材調達部などが担当します。

人事労務管理

人事労務管理は、従業員の動機づけ(モチベーションのアップ)、賃金など人に関する理論です。

部門としては人事部などが担当します。

生産管理

生産管理は、工場におけるものづくりに関する理論です。

生産方式や工場のレイアウトなどについて学習します。

経営法務

経営法務は、会社法(商法)、特許法、実用新案法などに関する理論です。

会社法(商法)の分野では株式会社の設立や株式の発行、会社法(商法)の改正の歴史などについて学習します。

経営情報システム

経営情報システムは、コンピュータを利用した経営システムに関する理論です。

コンピュータの仕組みや暗号の方式、eコマースの形態などについて学習します。

(コンピュータの仕組みなどは公務員試験では必要ありませんが、中小企業診断士試験では出題されます。)

経営史・経営事情

なお、このほかに経営に関する歴史的な話として経営史・経営事情という分野もあります。

以上が経営学で何を学ぶかという経営学の全体像です。

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Posted by みんなの教養