フランチャイズチェーンの意味とメリット・デメリット|ボランタリーチェーン・コーペラティブチェーンとの違いは

企業・産業研究

チェーン店のチェーンって何のこと?

よく「あの店はチェーンだ」とか「地方に行ってもチェーン店ばかり」ということをききます。

このチェーンってなんのことでしょうか?

このチェーンはチェーン方式のチェーンです。

経営学のマーケティングの分野には、製品(Product)、価格(Price)、チャネル・物流(Place)、プロモーション(promotion)という4つの要素(4P)があります。

チェーン方式はこの中のチャネル・物流(Place)に関連した話になります。

チャネルというのは、商品を消費者に届けるのにどのようなルートで届けるのかという話で、流通経路とか販売経路とか略して販路とよばれたりします。

チェーン店を通じてお客さんに商品を届けるというのもチャネルの1種なので、チェーン方式もチャネルの戦略であるチャネル戦略としてPlaceに関連したお話になります。

このチェーン方式には、フランチャイズチェーンとボランタリーチェーン(およびコーペラティブチェーン)という2つ(3つ)の種類があります。

フランチャイズチェーンの意味

チェーン店のイメージ

チェーン方式の1つ目はフランチャイズチェーンです。

フランチャイズチェーンとは

フランチャイズチェーンとは、フランチャイザー(本部)が、フランチャイジー(加盟店)にノウハウ、システムなどを提供する一方で、フランチャイジーからロイヤルティを徴収するチェーン方式です。

フランチャイズ(franchise)という英単語のオケツに「er」をつけて、フランチャイズする側という意味のフランチャイザー(franchiser)です。日本語では本部です。(franchisorとも書きます。)

フランチャイズ(franchise)という英単語のオケツに「ee」をつけて、フランチャイズされる側という意味のフランチャイジー(franchisee)です。日本語では加盟店になります。

また、ロイヤルティ(ロイヤリティー)は、加盟料納入金という意味です。

経営学でロイヤルティというと、ブランドロイヤルティが有名ですが、ブランドロイヤルティのロイヤルティは忠誠心ですが、ここでは加盟料とか納入金という意味です。

フランチャイズチェーンの例

フランチャイズチェーンの例は、セブンイレブン、ローソンなどのコンビニエンスストアやマクドナルドやモスバーガーなどのファーストフード店、スタバやドトールなどのカフェのほか、最近では美容院、病院や会計事務所などもフランチャイズ方式で展開されています。

フランチャイザー(本部)がフランチャイジー(加盟店)に、ノウハウ、システムなどを提供し、フランチャイジーはフランチャイザーにロイヤルティ(納入金)を支払うという契約をフランチャイズ契約といい、フランチャイズ契約によるチェーン方式をフランチャイズチェーンといいます。

フランチャイズチェーンのメリット

フランチャイズチェーンのメリットは、加盟店となるフランチャイジーからすると少ない資金や知識・経験・ノウハウで独立・開業が可能である点があげられます。

一方で、本部であるフランチャイザー側のメリットは、フランチャイジーの資金や労働力を活用することで迅速な展開が可能となる点があります。

また、フランチャイザーの主な収入はロイヤルティ収入となるため、店舗を直営するよりも管理負担が少なく、業績が安定しやすいというメリットもあります。

フランチャイズのデメリット

フランチャイジーからすると、やはりロイヤルティの負担がマイナスになります。

コンビニ最大手のセブンイレブンは2017年にロイヤルティを1%引き下げましたが、まだまだフランチャイジー側のロイヤルティ負担は大きいようです。

一方、カレーレストランのCoCo壱番屋(ココイチ)では、フランチャイズチェーン方式をとっていますが、加盟店からロイヤルティをとっていません。

ロイヤルティをとっていない理由は、加盟店がココイチの本部から仕入れるカレーソースや食材にロイヤルティ分が加算されているためです。

結局、ロイヤルティをとっているのと金額的には同じですが、表面的にはロイヤルティはゼロなので搾取されてる感は和らぐのかもしれませんね。

また、本部の決めたルールに従わなければいないため、フランチャイジー側の経営の自由度が少ないという点もフランチャイズチェーンのデメリットだといえます。

一方で、本部であるフランチャイザー側のデメリットとしては、フランチャイジーはお客さんでもあるため、戦略の変更などをトップダウンで進めにくく、変化に対して迅速に対応しにくいといった点があります。

たとえば、ハンバーガーチェーンのモスバーガーは、健康志向を売りにしてきた割に、全店禁煙化が遅れましたが、これは変化に抵抗するフランチャイジーへの配慮もあったのではないかと思われます。

ボランタリーチェーンの意味

スーパーマーケットの店頭

これに対して、もう1つのチェーン方式がボランタリーチェーンになります。

ボランタリーチェーンとは

ボランタリーチェーンとは、多数の独立した小売店が加盟店となり、本部が共同仕入、物流、プロモーション活動等を行うチェーン方式です。

ボランタリーチェーンの加盟店は独立した小売店だというのがポイントです。

ボランタリーチェーンの加盟店は独立性が強く、本部からの締め付けはあまりないことになります。

そして、加盟店は独立性を維持したまま共同仕入れなどによる規模の経済性によるメリットを得ることができるというのが利点になります。

フランチャイズチェーンとボランタリーチェーンの違いをまとめておくと、ボランタリーチェーンは加盟店の独立性が強く、相対的に自由度が高いのに対し、フランチャイズチェーンは本部の統制が強く、加盟店の独立性や裁量の幅が相対的に小さいのが違いだといえます。

コーペラティブチェーンとボランタリーチェーンの違い

ボランタリーチェーンとよく似たものにコーペラティブチェーンがあります。

コーペラティブチェーンとボランタリーチェーンの違いは、小売店が主催するもののことをコーペラティブチェーンといい、卸売店が主催するものボランタリーチェーンといいます。

つまり、チェーンの主催者が違うというのがボランタリーチェーンとコーペラティブチェーンの違いです。

ボランタリー(voluntary)は自発的なという意味です。ボランティア(volunteer)の派生語です。

コーペラティブ(cooperative)は協力的なという意味になります。これは協力するというコオペレイト(cooperate)の派生語ですね。

ただ、ボランタリー・チェーンの団体である「一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会」の正会員のリストをみると食料品の山崎製パンや寝装品の西川産業などメーカーが音頭を取っているケースもあるようですね。