プロ経営者とは – その意味と企業の専門経営者の例(日本マクドナルド原田さん)
プロ経営者(専門経営者)とはどんな人?
専門経営者というのは経営学の用語ですが、それを一般にプロ経営者といいます。
本来、株式会社で経営のプロといえば、株主から会社の経営を委託されている取締役のことを指すのですが、その中でも経営のプロ中のプロにあたるのが専門経営者です。
経済が発展すると、企業の経営はますます複雑化していきます。
この企業経営の複雑化によって、株式会社で経営の素人である株主が経営のプロに経営を任せたいというニーズがどんどん高くなっていきます。
そこで登場してきたのが、経営のプロ中のプロにあたる専門経営者です。
具体的には、日本では外資系のコンサルタント会社出身の人やMBA(経営学の修士号)をアメリカなどで取得した人などがなることが多いようです。
たとえば、2013年から2019年までのマックの社長(マクドナルドの日本法人の社長)はカサノバさんという女性の方でしたが、その前は原田さんという日本人の方が社長を務めていました。
原田さんはそれ以前にはマッキントッシュのほうのマックの社長でした。(アップルの日本法人の社長という意味です。)
同じマックでもハンバーガーとiPhone、製品には何の関係もありません。
また、原田さんはその後ベネッセの社長に就任していますが、こどもチャレンジなどの通信教育と以前の会社の製品はこれまた関係が薄いです。
ですが、社長に求められる経営のスキルは共通しているとして、経営のプロとしてこのように会社から会社へと渡り歩いている、こういった人が専門経営者になります。
プロ経営者(専門経営者)の登場による影響
このように専門家が経営者になることで経営者の支配力はどんどんと増大していきます。
この経営者の支配力の増大と小口の投資家の増加による株主の支配力の低下により、所有と経営の分離が過度に進みすぎた状態である経営者支配の状態がもたらされます。
代表的なプロ経営者(専門経営者)
専門経営者の代表はGE(ゼネラル・エレクトリック)社の元経営者のジャック・ウェルチです。ジャック・ウェルチさんは雑誌のフォーチュンで「20世紀最高の経営者」に選ばれています。
ジャック・ウェルチさんは、GE社で「ナンバー1かナンバー2」戦略を採用しました。この「ナンバー1かナンバー2」戦略は、1位か2位になる可能性のある事業以外は売却し、残った事業に注力するという戦略でリストラ戦略の一種だといえます。
また、日本企業において有名な専門経営者(プロ経営者)の例としては、前述の原田さんの他に、LIXILの経営にあたった藤森さんやローソンからサントリーホールディングスの社長に転身した新浪さんなどがいます。
プロ経営者(専門経営者)にあたらない人
たとえば日本の企業で有名な経営者には楽天の社長の三木谷さんやユニクロを運営しているファーストリテイリングの社長の柳井さんなどがいます。
ですが、彼らはこれらの会社の創業者または創業者の一族であり、会社の株を大量に所有しています。
そのため、所有と経営が(ある程度)一致しており、所有と経営の分離が進んだ状態で会社に雇われるプロ経営者(専門経営者)にはあたりません。
有名かつ有能な企業経営者が全員プロ経営者というわけではありませんので注意しましょう。