経済学とは|マクロ経済ミクロ経済の違い、勉強の順番はどっちから?
経済学とは何を学ぶ学問か
経済学とは、お金や企業の行動に関する学問です。
この経済学には一国全体の経済を分析するマクロ経済学と1つの産業について分析するミクロ経済学があります。
マクロ経済学とミクロ経済学の違い、ミクロとマクロの難しさ(難易度)についてお話します。
また、公務員試験などを独学で進める場合、ミクロとマクロのどちらから(どっちから)勉強すべきかということを理由とともに説明します。
経済学の定義と特徴
まずは、経済学はどういった学問なのかを説明します。
経済学とは、わかりやすくいうと、お金に関する学問ですが、もっと詳しくいうと、経済学は最も効率的な資源の利用について考える学問です。
そういった意味で経済学は効率性を追求していく学問だといえます。
世の中には、労働力や原材料といった資源があります。
この資源を使って企業は生産をしていきます。
この資源の効率的な資源の利用が出来ている状態というのが、無駄のない状態ということになり、効率的な状態になります。
これに対し、資源の使い残しがある状態というのは、無駄のある状態であって経済学的には、効率的ではないということになります。
経済学とほかの学問との違い
経済学はお金や企業のことを考える学問ですが、似た学問・科目として、経営学、法学(会社法)、会計学などがあります。
同じお金とか会社を扱う学問でも、何を重視しているかで、さまざまな違いがあります。
経営学:効果的な会社の運営について追求する学問で、企業の目的である利益よりも、どちらかというと手段である組織や戦略を重視している
法学(会社法(=旧商法)):会社を取り巻く当事者の利益のバランス(利益衡量)を重視している
会計学:決算書(財務諸表)で計算される利益の適正性を重視している
このようにいくつもあるお金に関する学問の中で、効率性というものを考えていくんだということが、経済学の特徴になります。
経済学の体系:ミクロ経済学とマクロ経済学の違いは?
では、次に、この経済学の体系についてみます。
経済学は、分析対象の違いによってミクロ経済学とマクロ経済学の2つに分かれます。
ミクロとマクロの違いは何かというと、ミクロ経済学は、1つの産業を対象に効率性を分析するもので、マクロ経済学は、ある国全体の経済活動を対象に効率性を分析するものになります。
ミクロ経済学
では、順番にみてみます。
ミクロ経済学は、1つの産業を対象に効率性を分析するものです。
たとえば、自動車なら自動車、コンピュータならコンピュータという1つの産業を対象に効率性を考えるのが、ミクロ経済学になります。
この自動車やコンピュータという商品のことを経済学では財といいます。
この財が取引される場が市場(しじょう)です。
市場は財が取引される抽象的な取引の場のことであり、中央卸売市場のような市場(いちば)のことではありません。
そして、ミクロ経済学では、消費者と生産者の利益の合計が最大になることが効率的であると考えます。
消費者・生産者というのは、ミクロ経済学における登場人物のことです。
ミクロ経済学ではそれぞれの利益のことを余剰という言葉で表現します。
一方で、何らかの理由で利益である余剰の合計が小さくなる場合、効率的ではないことになります。
このような効率的でない状態は、そのままでは改善されないので、公的な部門である政府が税金をかけたり、補助金を与えたりするなどによって調整する必要があります。
このように政府が登場することで効率的な状態に導いてあげるというのが、政府や公務員の役割ということになります。
マクロ経済学
これに対し、マクロ経済学はある国全体の経済活動を対象に効率性を分析するものです。
このマクロ経済学で効率性を測るモノサシが需要や失業率になります。
需要や失業率というのはニュースでよく耳にしますが、ここでいう需要というのは、ある国のすべての財の需要の合計という意味です。
また、失業率というのは、就職したくてもできない人の割合のことです。
この需要や失業率が適正な状態というのが効率的なんだと、マクロ経済学では考えているわけです。
逆に、需要が小さすぎたり、失業率が高すぎる状態というのは効率的ではないと考えることになります。
この場合は、ミクロ経済学と同じように政府が登場して税金をかけたり、公共事業を行ったりして調整することになります。
以上が、ミクロ経済学・マクロ経済学という経済学の体系になります。
マクロ経済学とミクロ経済学どっちから順番に勉強するべき?
以上のように、経済学にはマクロ経済学とミクロ経済学という2つの体系があります。
たとえば公務員試験を独学で勉強するような場合、ミクロ経済学とマクロ経済学どっちから(どちらから)順番に勉強すべきでしょうか。
どっちから勉強するかというとその順番はミクロ経済学から勉強すべきだといえます。
マクロでも使うミクロ経済学の知識
ミクロ経済学から勉強すべき理由の1つ目は、ミクロ経済学の知識をマクロ経済学でも使うからです。
ミクロ経済学で需要曲線に関連したお話として需要の価格弾力性という概念が出てきます。
これ以外にも弾力性という概念が、ミクロ経済学のみならず、マクロ経済学でもたくさん出てきます。(例:需要の所得弾力性、投資の利子弾力性、貨幣需要の利子弾力性など)
これらの弾力性の概念の中で一番重要なものが需要の価格弾力性です。
勉強を進めていくときに、ほかの弾力性については需要の価格弾力性と同じような振る舞いをするんだなと理解すれば大丈夫なものがほとんどです。(逆に違うものについては、需要の価格弾力性と逆なんだなと理解しておけば簡単に覚えられます。)
そのため、まずはミクロ経済学を先に勉強して、需要の価格弾力性を通じて弾力性の概念を理解しておいた方がマクロ経済学に入ってからも勉強がスムーズに進みます。
また、ほかにもマクロ経済学でミクロ経済学で習う知識が必要になることがあります。(例:最適な資本ストックK*の求め方など)
ミクロ経済学とマクロ経済学の難易度(どっちが難しい?)
また、難易度の点でもミクロとマクロではミクロ経済学から勉強したほうが良いといえます。
難易度の点で、ミクロとマクロどっちが難しいかでいえば、マクロ経済学のほうが難しいと感じる人が多いようです。
資格試験(公務員試験・中小企業診断士試験など)におけるミクロとマクロの難易度(最高★3つ)
ミクロ経済学:難易度★★
マクロ経済学:難易度★★★
マクロのほうが難しい理由は、マクロのほうが大きな流れを理解する必要があることとマクロ経済学では学説の対立があるためです。
そういった意味でも比較的簡単なミクロ経済学から手を付けたほうが良いといえます。
以上から、経済学を勉強する順番としては、マクロとミクロでは、ミクロ経済学から勉強すべきだといえます。