経済学

マクロ経済学の体系|ミクロ経済学より難しい2つの理由

世界経済のイメージ

マクロ経済学とは

経済学には、ミクロ経済学とマクロ経済学という2つの領域があります。

ミクロ経済学とは、1つの産業を対象に効率性を分析するものです。

たとえば、自動車なら自動車、コンピュータならコンピュータという1つの産業を対象に分析するものがミクロ経済学になります。

そして、余剰分析という方法により、消費者と生産者といったミクロ経済学の登場人物たちの利益(≒余剰)の合計が最大になることが効率的だとします。

これに対し、何らかの理由で余剰の合計が小さくなる場合、(これをミクロ経済学では死荷重といいます。)、効率的ではないと考え、政府が課税や補助金を行うことで調整します。

一方で、マクロ経済学とは、ある国全体の経済活動を対象に効率性を分析するものです。

マクロ経済学では需要や失業率が適正な状態というのが効率的であり、需要が小さすぎたり、失業率が高い状態は効率的ではないとされます。

そして、この場合はミクロ経済学と同じように政府が登場することになります。

マクロ経済学の体系

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このマクロ経済学には、

  1. 国民経済計算
  2. 45度線分析
  3. IS-LM分析
  4. AD-AS分析
  5. 国際マクロ経済学
  6. マクロ経済学の学派

などの分野があります。

このそれぞれの内容は以下のようになります。

国民経済計算

国民経済計算は、国民所得といわれるGDPやGNIなどに関する統計のお話です。

マクロ経済学で、効率性を考えるモノサシとして国民所得というものがあります。

つまり、国民所得というのは、ある国全体の経済活動が大きいか小さいかを表すモノサシを意味します。

この国民所得を表す具体的な数値がGDPとかGNIといわれるものになります。

よく日本のGDPが何兆円だったとか、何%上がったとかニュースでやっています。

そのGDPやGNIに関するお話です。

このGDP、GNIという数字をどう決めるかという統計のお話が国民経済計算になります。

45度線分析

次に、45度線分析というのは財市場について分析するものです。

財市場とは、財やサービスの需要と供給から国民所得を決定する市場です。

ミクロ経済学では、自動車やパソコンなどの個別の財を対象に分析していきます。

これらの市場をひっくるめて財市場といいます。

ミクロ経済学が個別の市場の需要と供給について分析をするのに対し、一国全体の需要と供給について分析するのが45度線分析になります。

45度線分析では、一国全体の需要と一国全体の供給から最適な国民所得を決めることになります。

このように45度線分析というのは財市場を分析して、最適な国民所得の水準を決めるものだよということになります。

IS-LM分析

次に、IS-LM分析というのは、財市場と貨幣市場を同時に分析するものです。

貨幣市場というのは、貨幣の需要と供給から利子率を決定する市場のことです。

貨幣にも普通の財と同じように需要と供給があります。

この貨幣の需要と供給から最適な貨幣の量と(貨幣の価格にあたる)利子率を決めるのが貨幣市場になります。

この貨幣市場と財市場を同時に分析して、最適な国民所得と最適な利子率を決めるのがIS-LM分析です。

AD-AS分析

AD-AS分析とは、財市場と貨幣市場と労働市場を同時に分析するものです。

労働市場とは、労働の需要と供給から雇用量を決定する市場です。

労働者は働くことで労働を供給し、企業は労働者を雇うことで労働を需要します。

この労働の需要と供給から最適な雇用量を決めるのが労働市場になります。

この労働市場と財市場と貨幣市場を同時に分析して、最適な国民所得を決めるのがAD-AS分析になります。

労働市場において労働を供給するのは、財市場において財を需要する消費者(労働者)です。

一方、労働を需要するのは、財市場における供給者である生産者(企業)です。

労働市場では、需要と供給の主体がいつもと逆になりますので注意します。

国際マクロ経済学

国際マクロ経済学というのは、国際経済学のマクロ分野です。

為替レートなどを利用して、外国との間のお金のやり取りを分析するものになります。

この分野には、IS-LM-BP分析などがあります。

マクロ経済学の学派

マクロ経済学は、ミクロ経済学に比べ、古典派、ケインズ経済学、マネタリストなどといった学説ごとの違いが大きく、それぞれの理論で結論が大きく異なります。

これらの学説ごとの理論の違いをきちん整理しておくことが、マクロ経済学の理解を深めるコツです。

ミクロ経済学に比べて、マクロ経済学の方が難しいという人が比較的多いです。

その理由は2つあります。

1つはマクロ経済学は分野ごとのつながりが強いからです。

ミクロ経済学は、どちらかというとそれぞれの理論を別個に理解していけばよかったのですが、マクロ経済学は違います。

IS-LM分析は、45度線分析を前提としていますし、AD-AS分析は45度線分析とIS-LM分析を前提としています。

このように、マクロ経済学では前の分野が次の分野の前提になっていることが多く、前の分野の理解がおろそかだと、次の分野もよくわからないということになりがちです。

特にその傾向が強いのが、45度線分析→IS-LM分析→AD-AS分析という流れになります。

これらの分野については、一連の流れにそって理解していくことが大切です。

もう1つマクロ経済学が難しいとされる理由が、学派の対立です。

ミクロ経済学には、学派による対立はほとんどみられませんが、マクロ経済学では大きく古典派とケインズ経済学という学派の対立があります。

マクロ経済学では、それぞれの論点に対して結論と理由を学派ごとに整理する必要があり、慣れないうちは混乱しがちです。

これらがマクロ経済学を難しくしている理由になります。

以上がマクロ経済学の体系になります。

なお、マクロ経済学には、このほかに物価と失業の関係などについて論じるフィリップス曲線、IAD-IAS分析や経済成長について考える経済成長論などがあります。