冷夏と株の関係は?|冷夏や暖冬など気候・天気と株価の相関関係

株式投資

冷夏と株の関係は

涼しい夏のことを冷夏といいますが、冷夏が続くとアイスクリームは売れませんし、夏服や水着の売上も落ちると予想されます。

このように冷夏は日本経済になにがしかの影響を及ぼすと思われます。

この冷夏と株の関係はどのような影響があるのでしょうか。

また、同様に暖かい冬である暖冬も灯油の消費の減少などの形でビジネスに影響を及ぼすと思われます。

日本の気候・天気が気温の株価への影響という形により、どのような影響があるのかを調べてみます。

気象庁のホームページで過去の気象データを検索

過去の気候のデータは、気象庁のホームページで公開されています。

「各種データ・資料」のページの「過去の気象データ検索」で気温などに関する年・月ごとの平均値や月ごとの値を調べることができます。

気象庁によると1981年から2010年までの東京の月ごとの平均気温は以下のようになります。

平均気温(℃)
1月5.2
2月5.7
3月8.7
4月13.9
5月18.2
6月21.4
7月25
8月26.4
9月22.8
10月17.5
11月12.1
12月7.6

また、1986年6月から2019年7月までの東京におけるそれぞれの月の平均気温は以下のようになります。

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
198621.123.926.823.717.112.38.5
19875.86.89.314.419.322.12727.323.318.912.88.1
19887.74.98.414.318.222.322.42722.817.511.48.4
19898.17.59.615.617.720.724.127.125.217.514.29.2
199057.810.614.719.223.525.728.624.819.215.110
19916.36.59.515.418.823.626.725.523.918.1139.2
19926.86.99.715.117.320.625.52723.317.3139.4
19936.27.78.713.418.121.722.524.822.917.514.18.5
19945.56.68.115.819.522.428.328.924.820.213.49
19956.36.58.91519.120.426.429.423.719.512.77.7
19966.65.49.212.718.122.626.22622.41813.29.3
19976.8710.515.219.222.726.62722.918.714.39.2
19985.3710.116.320.521.525.327.224.420.113.99
19996.66.710.11519.922.825.928.526.219.514.29
20007.669.414.519.822.527.728.325.618.813.38.8
20014.96.69.815.719.523.128.526.423.218.713.18.4
20027.47.912.216.118.421.6282823.11911.67.2
20035.56.48.715.118.823.222.82624.217.814.49.2
20046.38.59.816.419.623.728.527.225.117.515.69.9
20056.16.2915.117.723.225.628.124.719.213.36.4
20065.16.79.813.61922.525.627.523.519.514.49.5
20077.68.610.813.719.823.224.42925.21913.39
20085.95.510.714.718.521.32726.824.419.413.19.8
20096.87.81015.720.122.526.326.6231913.59
201076.59.112.41923.62829.625.118.913.59.9
20115.178.114.518.522.827.327.525.119.514.97.5
20124.85.48.814.519.621.426.429.126.219.412.77.3
20135.56.212.115.219.822.927.329.225.219.813.58.3
20146.35.910.41520.323.426.827.723.219.114.26.7
20155.85.710.314.521.122.126.226.722.618.413.99.3
20166.17.210.115.420.222.425.427.124.418.711.48.9
20175.86.98.514.7202227.326.422.816.811.96.6
20184.75.411.51719.822.428.328.122.919.1148.3
20195.67.210.613.62021.824.1

平均よりも気温が高い月と低い月

ではこれらのデータをもとに気温の株価への影響を調べてみます。

まずは前月の平均気温が平均以上だった月の株価を確認します。

1986年6月から2019年7月までの32年間にわたって日本を代表する株価指数である東証株価指数(TOPIX)の値動きで検証します。

前月の平均気温が平均以上だった場合、翌月の始値で買うものとします。

そして、前月の平均気温が平均以上である限り、ポジションを維持し、前月の平均気温が平均を下回ったときに、翌月の始値で決済するものとします。

TOPIXは株価指数ですのであくまで仮想トレードになりますが、この場合のトレードの売買成績は以下のようになります。

総損益22%
総取引数37
平均損益0.6%
勝率59%
プロフィットファクター1.1
最大ドローダウン-87%

総損益はプラスであり、勝率も50%を上回っていますが、最大ドローダウンが非常に大きいため、この結果をもとにトレードすることは不可能だといえます。

今度は反対に、前月の平均気温が平均を下回った場合の翌月の状態を確認します。

この場合も、買いからエントリーするものとし、前月の平均気温が平均を下回っている限りは、ポジションを維持し、前月の平均気温が平均以上となった月の初めに決済するものとして検証します。

総損益11%
総取引数36
平均損益0.3%
勝率56%
プロフィットファクター1.1
最大ドローダウン-30%

気温が低いケースも総損益はプラスになっています。

ですが、さきほどよりは最大ドローダウンは小さくなっているものの、総損益、勝率ともに悪化しており、こちらも参考にする以上の成果はないといえます。

冷夏と株の関係

では、今度は季節ごとの気温と株価の関係を確認します。

6月から8月までの夏の時期に前月の気温が平均よりも低い冷夏の場合をみてみます。

この場合に、TOPIXを買った成績は以下のようになります。

総損益0%
総取引数11
平均損益0.0%
勝率55%
プロフィットファクター1.0
最大ドローダウン-18%

総損益は0%となっていますが、わずかながらにマイナスでした。

冷夏の場合は、総損益はトータルではどっちつかずの結果となり、相場は方向性を失う傾向にあるといえそうです。

暑夏(しょか)と株の関係

一方で、暑い夏はどうでしょうか。

暑い夏のことを暑夏(しょか)といいますが、暑夏と株の関係について確認します。

総損益-43%
総取引数34
平均損益-1.3%
勝率41%
プロフィットファクター0.7
最大ドローダウン-61%

暑夏は株価に対し明確にマイナスの影響があるのがわかります。

そこで、今度は反対に売りから入った場合のショート戦略をとった場合のトレードの売買成績をみてみます。

総損益43%
総取引数34
平均損益1.3%
勝率59%
プロフィットファクター1.4
最大ドローダウン-23%

当然、総損益は真逆になり、大きくプラスになっています。

勝率、プロフィットファクターもそこそこですが、最大ドローダウンが20%を上回っており、そのままではトレードしにくいですが、暑夏に株価が下落する傾向があることは参考にする価値はあると思われます。

暑夏に株価が下落する傾向がある理由は、暑すぎる夏はアイスクリームや水着の販売にはプラスではあるものの、経済活動全般においてマイナスの影響のほうが勝るためであるというように考えられます。

暖冬と株の関係

では、今度は暖冬の場合の株価へ影響をみてみます。

12月、1月、2月の冬のシーズンに前月の気温が平均以上だった時期を暖冬と定義し、それぞれの月の月初めに買い、暖冬ではなくなった翌月初めに手仕舞いするとして検証します。

総損益36%
総取引数33
平均損益1.1%
勝率55%
プロフィットファクター1.3
最大ドローダウン-26%

勝率はそれほど高くありませんが、総損益はプラスであり、暖冬の株価は上昇傾向にあることがわかりました。

このように、暖冬の株価が上昇傾向にある理由は、暖房器具や灯油の売上は減少するものの、すごしやすい冬が経済に対してプラスの影響を及ぼすためと考えられます。

寒冬(かんとう)と株の関係

一方で、寒い冬である寒冬(かんとう)の株価への影響もみてみます。

ここでは12月、1月、2月の3ヶ月間に前月の気温が平均未満だった時期を寒冬とした場合のトレードの売買成績を確認します。

総損益10%
総取引数11
平均損益0.9%
勝率55%
プロフィットファクター1.4
最大ドローダウン-20%

総損益がプラスであり、株価は上昇傾向にあるとはいえますが、平均損益はそれほど高くなく、あくまで参考程度にすべきだと思われます。

暖かい春は株にプラス?

夏、冬とみてきましたので、今度は春についてみてみましょう。

3月から5月までを春とし、平均よりも暖かい春の株価への影響を確認します。

これまでと同じ条件で検証すると以下のようになります。

総損益89%
総取引数35
平均損益2.5%
勝率63%
プロフィットファクター2.1
最大ドローダウン-29%

総損益、勝率、プロフィットファクターとも良好であり、暖かい春は買いからエントリーするのが有利だというのがわかりました。

暖かい春が株価にプラスの影響を及ぼすのは、春の陽気により消費マインドが改善し、財布の紐も緩むという心理的な効果もあるように思われます。

涼しい春と株の関係

では、反対に前月の気温が平均を下回る涼しい春は株にどのような影響があるでしょうか。

総損益-15%
総取引数14
平均損益-1.1%
勝率50%
プロフィットファクター0.6
最大ドローダウン-29%

総損益はマイナスであり、トータルでは株価は下落傾向といえますが、勝率は50%と半々であり、方向感に乏しい値動きであるともいえます。

暖かい秋と株価の関係

では、最後の季節である秋はどうでしょうか。

9月から11月の間に前月の気温が平均以上である暖かい秋の株価への影響を検証します。

総損益-51%
総取引数33
平均損益-1.5%
勝率42%
プロフィットファクター0.7
最大ドローダウン-101%

かなりはっきりとした下落傾向にあるのがわかります。

では、反対の売りからトレードしたショート(空売り)の検証結果を確認します。

総損益51%
総取引数33
平均損益1.5%
勝率58%
プロフィットファクター1.4
最大ドローダウン-51%

総損益は大きいのですが、最大ドローダウンも大きいため、直接トレードに使うのは難しいですが、参考とするべき部分はあるのではないでしょうか。

暖かい秋が株価にマイナスなのは、冬物衣料や暖房機器、燃料の売上の低迷などにつながるからと推測されます。

寒い秋と株価の関係

では、最後に寒い秋の場合はどうでしょうか。

寒い秋にTOPIXを買った場合のトレードの売買成績は以下のようになります。

総損益17%
総取引数7
平均損益2.4%
勝率86%
プロフィットファクター5.3
最大ドローダウン-4%

回数は多くはありませんが、勝率、プロフィットファクターともに非常に高く、寒い秋に買うというのはそのままトレードに採用することもできそうです。

(ただし、回数が少ないため、統計的な価値がないかもしれない点には留意が必要です。)

あくまで後講釈ですが、寒い秋は、寒い冬の到来を予感させ、冬物衣料や暖房機器、灯油などの燃料代の売上が伸びるのではないかと推測できます。

(まとめ)月の平均気温と株価の関係

前月の気温を基準にした場合、暑夏と暖かい秋は下げに注意する必要があります。

一方で、暖冬は、暖かい春、寒い秋は買いからエントリーが有利だといえるという結果になりました。

月の平均気温と株価との関係のお話は以上になります。