金(ゴールド)のアノマリー|年末年始のアノマリー|金と株価の関連

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金(ゴールド)のアノマリー

アノマリー(Anomaly)は季節性ともいい、ファンダメンタルズ(Fundamentals、基礎的条件)などで合理的な説明が難しい値動きのことをいいます。

株式市場などではアノマリーが確認されていますが、金(ゴールド)の値動きにアノマリー的な値動きはあるのでしょうか。

金先物の値動きについて1993年2月から2018年7月までの26年半の期間を分析してみました。

検証の結果は以下のようになりました。

(列ラベルの1から12は月をあらわしており、アノマリーをみるために各月の月次の変動率の平均値をパーセント(%)で集計しています。)

1月 上昇傾向
2月 上昇傾向
3月 下落傾向
4月 上昇傾向
5月 上昇傾向
6月 下落傾向
7月 下落傾向
8月 上昇傾向
9月 上昇傾向
10月 下落傾向
11月 上昇傾向
12月 上昇傾向

アノマリーの検証結果によると金(ゴールド)の値動きは、全期間では上昇傾向でしたが、上昇傾向にある月が1月、2月、4月、5月、8月、9月、11月、12月の8つの月であり、下落傾向にある月が3月、6月、7月、10月の4つの月でした。

金の年末年始のアノマリーの検証

11月から2月は4ヶ月連続して上昇傾向が続いているため、10月末に金を買って、2月末に金を売れば、利益となる可能性が高そうです。

これは金の年末年始のアノマリーとして、最近よく話題になっているアノマリーです。

このアノマリーが本当に機能するか検証してみます。2002年10月 から 2021年3月 までの 18 年間の金先物で値動きで検証します。11月の始値で買いのエントリーをし、翌年の3月の始値で売り手仕舞いした場合の売買成績は以下のようになりました。

総損益 128%
総取引数 19
平均損益 6.7%
勝率 74%
プロフィットファクター 7.7
最大ドローダウン -8.8%

十分トレードするに足る素晴らしい成績ですね。特にプロフィットファクター7.7というのが輝いています。

金の年末年始のアノマリー検証1

売買成績をグラフにしてみると、きれいに右肩上がりになっているのがわかります。18年間で負けたのは2012年、2013年、2017年、2021年の4回だけです。

金の年末年始のアノマリーは、非常に有望そうですね。

長期の金先物の値動きで年末年始のアノマリーを検証

でも、念のためもっと長い期間で年末から年始にかけてのアノマリーが有効だったのかを確認してみたいと思います。

今度は、1980年10月 から 2021年3月 までの 40 年間で検証してみます。

総損益 33%
総取引数 41
平均損益 0.8%
勝率 51%
プロフィットファクター 1.2
最大ドローダウン -100.7%

総損益が大きく減少し、プロフィットファクターも1.2まで悪化してしまっています。

これを売買成績にグラフで確認すると

金の年末年始のアノマリー検証超長期

うーん、やばいですね。まったくうれしくないきれいなV字カーブとなっています。

どうやら2002年前後で金の値動きのアノマリーに変化があったようです。2002年というとインターネットバブルが崩壊した後の小泉政権の時代になります。小泉政権の構造改革により相場の値動きが変わったとも思えますが、金の値動きなのでもっと世界的な要因の方が大きい気がします。結局のところ、アノマリーが変調した原因はよくわかりません。

年末年始のアノマリーにフィルターを追加する

変調後の金価格のアノマリーがずっと続くことを信じてトレードするのも1つの方法ですが、金相場の値動きが2002年以前のような状態に戻っても大丈夫なルールを考えてみます。

まず、11月の始値で買いのエントリーをし、翌年の3月の始値で売り手仕舞いするのではなく、翌年の2月の始値でイグジットするように変更します。

総損益 89%
総取引数 41
平均損益 2.2%
勝率 56%
プロフィットファクター 1.9
最大ドローダウン -35.0%

手仕舞いを1か月早めただけでかなり成績が改善しているのがわかります。

金の年末年始のアノマリー検証早期手仕舞い

売買成績のグラフで見ても、改善していますね。

次に、金価格の上昇傾向は継続するという考えのもと、11月から翌年の1月の間に、前月の金先物の終値がその前の月の終値よりも高い場合に、当月の始値で仕掛け、1か月間ホールドするという形に売買ルールを変更します。

たとえば、10月末の時点で終値が上昇していれば、11月の始値で仕掛けます。11月末になったときに、金価格が月足の終値ベースで上昇していれば、そのまま金を保有し続けます。12月末になったときにもし金価格が値下がりしていれば、1月の始値で手仕舞いします。もしポジションの継続保有が続いたとしても2月の始値ですべて手仕舞いします。

このような金の年末年始のアノマリーに、上昇局面だけ買うというフィルターを加えた売買成績は以下のようになります。

総損益 90%
総取引数 35
平均損益 2.6%
勝率 54%
プロフィットファクター 4.2
最大ドローダウン -10.1%

元の成績(総損益33%)と比べるとかなり改善しています。

金の年末年始のアノマリー検証最終版

売買成績のグラフも、それなりにきれいな右上がりに描けています。

金の年末年始のアノマリーまとめ

2002年からの成績だけでみると、何のフィルターもないまま11月はじめから3月はじめにかけて買う戦略の方が成績は優れています。

したがって、金の年末年始のアノマリーがずーっと続くという自信があれば、何も考えずに買うのがおすすめです。

一方で、アノマリーの継続性について疑問があるなら、上昇局面に絞って早めに手仕舞いするのがおすすめの戦略だといえそうです。

株の値動きと金(ゴールド)の値動きを比較してみる

次に、ここまでとは別のお話として、金の値動きと株の値動きを比較して、相場状況に応じたトレード戦略を考えてみます。

株式市場でもアノマリーを示す季節的な値動きが確認できます。

金(ゴールド)と同様に株も月ごとに上昇傾向となる月と下落傾向となる月があります。

株価と金(ゴールド)の値動きの組み合わせ

株価の上昇・下落と金の上昇・下落の組み合わせとしては、2×2の4通りの組み合わせを考えることができます。

株価下落 株価上昇
金上昇 ③株価下落・金上昇 ①株価上昇・金上昇
金下落 ④株価下落・金下落 ②株価上昇・金下落

 

右上の①は株価も金もどちらも上昇傾向になる組み合わせです。

本来、株はリターンが大きいがリスクも大きいリスク資産であり、金(ゴールド)は投資家がリスクを取りたくないリスクオフしたときに選ばれるディフェンシブな資産だとされます。

だとすると、投資家がリスクを選好してリスクをとっていくリスクオンのときは株価が上昇し、投資家がリスクを回避し、リスクオフするときには金(ゴールド)が上昇するはずです。

だとすると、株価と金(ゴールド)は逆相関の関係となり、②や③のように株価が上昇するときは金が下落し(②)、株価が下落するときには金が上昇する(③)が普通のはずです。

とすると、①のように株価も金も上昇傾向となる組み合わせは、普通ではないわけですが、これは株式相場や金相場をすべて合わせた相場全体に資金が流入している状態といえます。

これは金融市場でマネーサプライを生み出す信用創造のプロセスが働く結果、マネーが増加することで、市場に流入する資金が増加する結果、株も金も上昇していると推測されます。

反対に、④の状態は、株価も金(ゴールド)も下落傾向となっていますが、これは相場全体から資金が引き揚げられている状態だと考えられます。

こちらは金融市場において信用創造のプロセスが逆回転することで、マネーが減少し、市場から資金が出ていってしまっているため、株も金も下落すると推測できます。

どの月がどのパターンに当たるか

これらの①から④に該当するのは月でいうとどうなるでしょう。

株の月ごとの値動きは以下のようでした。

一方、金の月ごとの値動きはさきほどみたようにこのようになります。

 

検証期間は異なりますが、株と金の値動きについて、それぞれのパターンにどの月が当てはまるかを確認します。

すると、それぞれのパターンに当てはまる月は以下のようになります。

株価下落 株価上昇
金上昇 ③株価下落・金上昇
1月、8月、9月
①株価上昇・金上昇
2月、4月、5月、
11月、12月
金下落 ④株価下落・金下落
6月、10月
②株価上昇・金下落
3月、7月

株価と金(ゴールド)が逆相関となる月:②と③

相場全体にマネーが流入も流出もしていないマネーの増減的に普通の傾向にある月は、②の株価上昇・金下落の3月と7月、そして③の株価下落・金上昇の1月、8月、9月になります。

これらの月は株価と金(ゴールド)の逆相関が普通に働いている月です。

このような月に適した戦略としては、株と金のサヤ取りや株と金で下落した方を買って、上昇した方を売るような逆張りが機能しやすいのではないかと考えられます。

株価も金(ゴールド)も上昇する月:①

一方で、市場全体のマネーが増加する傾向にあると考えられる月は、①の株価も金も上昇する2月、4月、5月、11月、12月になります。

こういう月はマネー増加の後押しがある分、より積極的に株を買っていくのがよさそうです。

金ではなく株を買うのは、一般的に株の方が上昇率が高く、株の方が期待収益率に優れているからです。

もしくは、①に該当するこれらの月に株と金の両方を買えば、統計的にはどちらも値上がりする傾向にあるといえますし、値下がりする場合もマネーの減少を示すような両方が値下がりするのは少ないと考えられるので、ヘッジ(保険)が効きやすいと考えられます。

株価も金(ゴールド)も下落する月:④

残りは市場全体がシュリンク(縮小)してマネーが減少する傾向にあると考えられる月であり、6月および10月になります。

このような月はトレードの見送りなどより慎重な姿勢が求められることになります。