株式投資

出来高と株価の相関とは|株価と出来高の関係|出来高急増の意味とは

出来高と株価の相関関係とは

株式市場において出来高と株価の相関関係はあるのでしょうか。

一般に株価が大きく動く場合に出来高は大きくなるとされます。

出来高と株価にどのような関係があるかを散布図により確認してみます。

ここでは日本を代表する株価指数である東証株価指数(TOPIX)について指数の値と出来高を散布図にしてみます。(出来高の単位は万株)

データの期間は1989年4月から2019年6月までの30年間です。

散布図によるとTOPIXの値が低いほど出来高の大きさ(最大値)は大きくなり、TOPIXの値が高いほど出来高の大きさ(最大値)は小さくなるという(反比例のような)逆相関の関係にあることがわかります。

TOPIXの値が2000ポイントを下回る領域では、出来高は10,000万株から700,000万株台と、散布図は縦に長い形になっていますが、TOPIXの値が2000ポイント以上になると、出来高は常に200,000万株を下回っており、散布図が横に長く伸びる形になっています。

このように出来高と株価が逆相関となる理由は、株価×出来高≒売買代金となることから、投資金額である売買代金が一定のもとでは、株価(株価指数)が高くなるにつれて、出来高が小さくなるためだと思われます。

出来高と株価の相対的な位置による相関関係

次に、出来高と株価についてそれぞれ過去200日間の値動きや値の動きを100%とした場合の相対的な位置を算出し、それをもとに散布図を描いてみます。

相対的な位置というのは、過去200日間の最大値と最小値をとったうえで、

(現在の値-過去200日の最小値)/(過去200日の最大値-過去200日の最小値)×100(%)

として計算される値のことです。

このような相対的な位置をもとにした散布図は以下のようになります。

この散布図によると、出来高の相対的な位置は50%から60%の値以下であることが多いのがわかります。

また、株価(TOPIX)の200日間最高値や最安値となる相対的な位置が1(100%)や0(0%)の状態も多く、左右の横軸に点がへばりついているのがみてとれます。

これに関連して、右上の端の点(出来高・株価ともに200日間で最大)や右下の端の点(株価が200日間で最大、出来高は200日間で最小)、左上の端の点(株価が200日間で最低、出来高が200日間で最大)という極端な点がみられるのに対し、出来高と株価の両方が最低という(左下の)点は存在しないのがわかります。(だいぶ細かいですが。)

出来高の相対的な位置と20日後の株価の相関関係

では、次に出来高の相対的な位置と将来の株価の値動きとの関係を分析します。

出来高の相対的な位置と20日後の株価(20日後のTOPIXの値動き)を散布図であらわしてみます。

散布図によると、出来高の相対的な位置が高くなるにつれて、20日後の株価は高くなるという傾向がみられることがわかります。

出来高の相対的な位置が0.3(30%)未満だと20日後株価の右側のプラス(値上がり)部分の点が多くなり、0.3(30%)以上から0.6(60%)程度の領域では左側のマイナス(値下がり)に振れている点が多くなるのがみてとれます。

(ただし、逆方向の振れ幅もそれなりに大きいのでトレードする気にはなれませんが。)

出来高や株価が極端なケースと20日後の株価の相関関係

では、さきほどの3つの極端な点である出来高・株価ともに最大(最高)、出来高最小・株価最高、出来高最大・株価最安について、それぞれの場合において20日後の株価(TOPIXの変動率)がどうなるかを確認してみます。

出来高・株価ともに最大(最高)の場合の20日後の株価

まず、出来高と株価がともに最大(最高)の場合は12回あり、その20日後の株価は平均で3.5%値上がりしました。(勝率は83%)

日付出来高・株価20日後株価
1993/4/2最大・最高6.2%
2003/7/3最大・最高-1.4%
2004/4/14最大・最高-13.5%
2005/9/9最大・最高8.7%
2005/9/20最大・最高2.0%
2005/9/21最大・最高1.9%
2005/11/2最大・最高5.8%
2013/1/10最大・最高9.0%
2013/2/4最大・最高3.8%
2013/2/7最大・最高3.6%
2013/4/5最大・最高11.5%
2014/11/4最大・最高4.3%

出来高と株価がともに最大(最高)のときに買うという順張りに適した結果となっています。

ただし、2005年9月のように出来高と株価がともに最大となる日が連続して示現する(生じる)こともあり、トレード機会はそう多くなさそうです。

なお、損失となっているのは2003年7月と2004年4月ですが、2003年の場合は30日後には利益に転じており、2004年の場合は少し長いですが、1年4ヶ月後には利益になっています。

多少の塩漬け期間を覚悟すれば、出来高と株価が最大となったときは買いのチャンスといえそうです。

出来高最小・株価最高の場合の20日後の株価

一方で、出来高最小・株価最高の場合は2回のみであり、20日後の株価は平均で1%の値上がりでした。(勝率は50%)

日付出来高・株価20日後株価
1999/12/30最小・最高-0.9%
2017/12/25最小・最高2.9%

出来高最小、株価最高となっているのは12月のクリスマスシーズンか年末であり、もともとトレードを手控える傾向があることが影響していそうです。

なお、損失だった1999年年末は23日後には利益となっています。

出来高最大・株価最安の場合の20日後の株価

そして、株価の暴落により出来高最大・株価最安となった場合は3回

で、その20日後の株価は平均で4.6%の値上がりでした。(勝率は67%)

日付出来高・株価20日後株価
1998/9/11最大・最安-4.5%
2008/10/10最大・最安9.0%
2011/3/15最大・最安9.4%

このケースは株価暴落後に買うという逆張りのケースになります。

逆張り手法は一般に勝率が高いが負けるときは負けが大きくなるとされますが、損失だった1998年9月も28日後には利益となっています。

以上からすると、出来高や株価が最大・最小となるような極端なケースではとりあえず買うのが吉といえそうです。

出来高急増の意味とは(出来高急増と20日後の株価の相関関係)

次に、出来高が急に増えた場合である出来高急増のケースを考えてみます。

出来高が急に増えるということは、株が上がるにしろ下がるにしろ、相場が急に活況となることを意味します。

このような出来高急増は将来の株価にどのような影響があるのでしょうか。

このような出来高急増のケースにおける株価との相関関係を分析します。

前日までの過去200日間の出来高の平均よりも3倍以上出来高が急増したケースの20日後の株価がどうなっているかを確認します。

日付出来高倍率20日後株価
1991/2/193.23.6%
1991/9/133.23.5%
1992/8/283.4-2.2%
1993/3/93.415.8%
1993/3/123.216.1%
1993/3/263.06.7%
1993/4/25.56.2%
1993/4/54.33.9%
1994/6/103.3-1.9%
1995/7/73.14.1%
1995/8/163.70.4%
1995/9/84.42.2%
1995/12/83.16.2%
1996/3/83.37.5%
1999/6/113.36.4%
2011/3/153.09.4%

出来高急増のケースは16回あり、20日後の株価は平均で5.5%の値上がりでした。(勝率は88%)

出来高急増により買った場合、負けの最大が-2.2%であり、なかなか優れた買いのサインとなっているといえます。

ただし、2000年以降、出来高急増のケースは2011年に1度あったきりであり、再現性はあまり高くなさそうです。

株価の下落(陰線)による出来高急増の意味

このような出来高急増のケースには、株価が下落して陰線となって出来高が急増した場合と株価が上昇して陽線となって出来高が急増した場合の2通りがあります。

まずは株価が下落して陰線となって出来高が急増した場合について確認します。

さきほどと同様、前日までの過去200日間の出来高の平均よりも3倍以上出来高が増加して急増したケースで、かつ、陰線となったケースを抽出してみます。

日付出来高倍率陰線・陽線20日後株価
1994/6/103.3陰線-1.9%
1995/12/83.1陰線6.2%
2011/3/153.0陰線9.4%

株価が下落して陰線となって出来高が急増した場合は3回のみであり、20日後の株価(TOPIX)の平均的な変動率は4.6%でした。(勝率は67%)

なお、損失だった1994年6月は1年10ヶ月後にしか利益とならず、その間の含み損も大きいため、頑張って持ち続けるのはおすすめできません。

そのため、株価の下落(陰線)による出来高急増のケースはトレードを見送ってお休みするか、損失であっても20日後にすっぱり手仕舞いする(決済する)のが良いと考えられます。

株価の上昇(陽線)による出来高急増の意味

一方で、株価が上昇して陽線となって出来高が急増した場合を確認してみます。

これもさきほどと同様、前日までの過去200日間の出来高の平均よりも3倍以上出来高が増加して急増したケースで、かつ、陽線となったケースを抽出します。

日付出来高倍率陰線・陽線20日後株価
1991/2/193.2陽線3.6%
1991/9/133.2陽線3.5%
1992/8/283.4陽線-2.2%
1993/3/93.4陽線15.8%
1993/3/123.2陽線16.1%
1993/3/263.0陽線6.7%
1993/4/25.5陽線6.2%
1993/4/54.3陽線3.9%
1995/7/73.1陽線4.1%
1995/8/163.7陽線0.4%
1995/9/84.4陽線2.2%
1996/3/83.3陽線7.5%
1999/6/113.3陽線6.4%

株価が上昇して陽線となって出来高が急増した場合は13回あり、20日後の株価(TOPIX)の平均的な変動率は5.7%でした。(勝率は92%)

なお、損失だった1992年8月は7ヶ月後には利益になっています。

ただ、みてわかるようにサインはすべて1990年台のものであり、2000年以降は1回もサインが成立していないのが問題だといえます。

そこで、今度はもう少し基準を緩めてみます。

前日までの過去200日間の出来高の平均よりも2.5倍以上出来高が増加して急増したケースで、かつ、陽線となったケースを抽出します。

(ここでは2.5倍から3倍のケースのみを抜き出してみてみます。)

日付出来高倍率陰線・陽線20日後株価
1991/2/182.8陽線2.8%
1992/8/272.5陽線2.3%
1992/9/42.9陽線-9.0%
1993/3/182.5陽線13.1%
1993/4/72.9陽線5.1%
1993/4/132.5陽線-0.2%
1993/4/282.6陽線2.8%
1994/2/12.8陽線0.1%
1994/6/92.6陽線-2.3%
1997/11/272.9陽線-6.1%
1999/3/172.8陽線6.6%
2002/3/82.7陽線-1.8%
2011/3/162.6陽線3.3%
2013/2/72.6陽線3.6%
2013/4/52.8陽線11.5%

すると、株価が上昇して陽線となり、かつ、出来高が2.5倍から3倍の範囲で急増した場合は15回あり、20日後の株価(TOPIX)の平均的な変動率は2.1%でした。(勝率は67%)

懸案だった2000年以降のサインも4回だけですが存在します。

最大のマイナスが-9%とやや大きいのが問題ですが、投資可能な範囲内にあるといえます。

出来高が3倍以上に急増したケースを含めると合計で28回となり、20日後の株価(TOPIX)の平均的な変動率は3.8%でした。(勝率は79%)

出来高が最大となった日の20日後の株価はどうなるか

さきほど上で、出来高最大・株価最高や出来高最大・株価最低のケースについて分析しました。

今度は出来高が最大となったときに20日後の株価はどうなるかということを考えてみます。(表は省略)

過去200日間の出来高が最大となったときは53回あり、20日後の株価(TOPIX)の平均的な変動率は2.0%でした。(勝率は64%)

出来高最大後の20日後の株価(重複分を除いてみる)

ただし、この分析結果には2日以上連続でサインが生じているケースがあったり、ひと月に何回もサインが生じているケースが含まれており、実際に投資をするにあたっての指針とするには不十分です。

そこで、過去200日間の出来高が最大となった日の前日までの60日間で出来高が過去200日間の最大値になっていないことという条件を加えて分析してみます。

この条件を満たす日は28回であり、その20日後の株価(TOPIX)の平均的な変動率は2.1%でした。(勝率は61%)

出来高最大後の20日後・40日後・60日後の株価の相関関係

では、最後に上記条件で投資期間を伸ばした場合の投資成績を確認してみます。

過去200日間の出来高が最大となった日で、かつ、前日までの60日間で出来高が過去200日間の最大値になっていないときに、20日後の株価、40日後の株価、60日後の株価はどうなっているでしょうか。

条件を満たす日はさきほどと同様28回で、株価(TOPIX)の平均的な変動率は20日後に2.1%、40日後に2.3%、60日後に2.9%でした。

そして、勝率は20日後が61%、40日後が54%、60日後が54%となりました。

平均利益(平均損益)は日数が長くなるほど大きく、勝率は期間が短い方が高いという結果になりました。

40日後までの手仕舞い(決済)であれば、最大のマイナス幅が-10%を超えることはありませんでしたが、60日後の手仕舞い(決済)では、最大の負け幅が-16.3%となりました。

実際に投資判断に役立てるときはそのあたりを注意する必要がありそうです。

出来高と株価の相関関係に関するお話は以上になります。