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日本株式セクターローテーション戦略|日経レバレッジETF(1570)に勝つには

波

セクターローテーションとは

セクターローテーションとは、株式投資において景気や相場状況に応じて複数のセクターで銘柄を切り替えることをいいます。

日本の株式市場において、このセクターローテーション戦略の有効性を検証してみます。

基準とするのは、日本株を対象とするETFの中でも人気の高い日経レバレッジ指数連動型ETF(証券コード:1570)です。

日経レバレッジETF(1570)は、2013年7月に上場し、2018年9月末までに(日々の値動きの累計として)約130%上昇しました。

このETFに勝てる戦略がないかを検証してみます。

対象となるセクター別ETFはどれ?

日本の株式市場は、東京証券取引所により33の業種に分類されています。(東証33業種

また、それをまとめたものとしてTOPIX-17という分類もあります。

これらに連動するETFが上場されていますが、そのほとんどは出来高が薄く投資対象としての適格性に欠けます

出来高の点で、唯一OKなのが東証33業種の銀行業株価指数に連動する東証銀行業株価指数連動型ETF(証券コード:1615)です。

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そこで、仕方がないので、この銀行業ETFと日経レバレッジETFを交互に切り替える形でセクターローテーション戦略を検証することにします。

日経レバレッジETF(1570)は、株価指数である日経平均株価の2倍の値動きをするように設定されたETFです。

これに対し、東証銀行業株価指数連動型ETF(1615)はセクター別株価指数である銀行業株価指数の1倍の値動きをするように設定されたETFです。

この両者をセクターローテーションの対象とするのはおかしいような気もしますが、個別株、特に銀行株などの景気に敏感な株は、全体の値動きをあらわすインデックス(株価指数)よりもベータ(基準となる全体の値動きに対する個別銘柄の相対的な値動きの大きさをあらわす値)が大きくなります。

全体の値動きをあらわす株価指数であるインデックスのベータは1です。

仮に銀行業ETFのベータが2だとすると、銀行業ETFと交互に売買するETFもインデックスの1倍の値動きをする日経225連動型ETF(証券コード:1321)のようなものではなく、インデックスの2倍の値動きとなる日経レバレッジETFの方が望ましいといえると考えられます。

銀行業ETFと日経レバレッジETFの組み合わせで考えることは、銀行業ETFと日経レバレッジETFをそれぞれ単純に長期保有した場合の最大ドローダウンが60%と62%というほぼ同じ値であることからも妥当だといえます。

日本株式のセクターローテーション戦略の検証結果は

波ただ、東証銀行業株価指数連動型ETF(1615)について、日経レバレッジETFと同様の期間の騰落率をみてみると、約18%しか上昇していません。

この上昇率からして、単純に日経レバレッジETFを長期保有した方が成績が良いような気がします。

ですが、念のために上昇相場と下落相場で銀行業ETFと日経レバレッジETFを切り替えたときの戦略を確認してみます。

ここでは日本の株価指数である日経平均株価(日経225)について、日経平均の200日単純移動平均(SMA)以上なら相場は上昇局面であり、日経平均が移動平均よりも下なら相場は下落局面であるとして考えてみます。

上昇局面:日経平均≧200日移動平均

下落局面:日経平均<200日移動平均

銀行セクターは、セクターローテーションの一般的な考えからすると景気の拡大する局面に上がる傾向にあるとされます。

とすると、相場の上昇局面で銀行業ETF(1615)を買い、相場の下落局面で日経レバレッジETF(1570)を買うというのが良さそうですが、一応逆のパターンも含めて検証してみます。

そうすると検証結果は以下のようになりました。

上昇局面で買うETF1570161515701615
下落局面で買うETF1570161516151570
総損益130%18%59%89%
総取引数1279127912791279
勝率52.9%40.3%49.2%43.9%
プロフィットファクター1.121.021.061.10
最大ドローダウン-62%-60%-63%-59%

こうやってみると、単純に日経レバレッジETF(1570)を上昇局面も下落局面も持ち続けた方が成績は総損益130%とやはり良くなっています。

セクターローテーションを行う1615と1570の組み合わせでは、やはり通説通り、上昇局面で銀行株(1615)に投資する上昇局面(1615)・下落局面(1570)の組み合わせの方が逆のパターン(上昇局面(1570)・下落局面(1615))よりは成績が良く総損益89%となっています。

相場の上昇局面の定義を限定してみる

フィルタリング以上から、単純な日経レバレッジETF(1570)のバイ・アンド・ホールドの方が優れているため、「日本株でセクターローテーション戦略は機能しない」で終わっても良いのですが、もう少し検討してみます。

相場の上昇局面で銀行業ETF(1615)を買い・相場の下落局面で日経レバレッジETF(1570)を買うという組み合わせをベースに条件を変えて検証します。

ここでは、相場の上昇局面の定義をもう少し限定的にとらえて、銀行株を持つ期間を短くしてみます。

方法としては、現在の日経平均株価が200日移動平均の値よりもどれくらい上に位置しているかという移動平均乖離率で考えます。

移動平均乖離率が10%以上のケース、移動平均乖離率が15%以上のケース、そして移動平均乖離率が20%以上のケースの3つに分けて、これらの条件を満たすときだけ銀行業ETFを買うという形で検証します。

この場合の検証結果が以下のものになります。

上昇局面の定義指数≧MA指数≧MA×1.1指数≧MA×1.15指数≧MA×1.2
上昇局面で買うETF1615161516151615
下落局面で買うETF1570157015701570
総損益89%142%149%140%
総取引数1279127912791279
勝率43.9%50.2%52.4%52.9%
プロフィットファクター1.101.151.141.13
最大ドローダウン-59%-59%-62%-62%

そうすると、もとの成績よりも大分改善していますね。

10%以上(指数≧MA×1.1)、15%以上(指数≧MA×1.15)、20%以上(指数≧MA×1.2)のすべての組み合わせで日経レバレッジETFの単純なバイアンドホールド戦略の結果である130%よりも総損益が良くなっています。

これならセクターローテーションをする意味があるといえます。

総損益の点で一番優れているのは、移動平均乖離率が15%以上の場合で、総損益は149%であり、これは年率でいうとだいたい28%程度になります。

(まとめ)日本株のセクターローテーション戦略

  • 日経平均株価が過去200日の単純移動平均よりも15%以上高い場合、東証銀行業株価指数連動型ETF(1615)を買う
  • 上記以外の場合は、日経レバレッジ指数連動型ETF(1570)を買う
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