酒田五法の三羽烏(株、米国株、FX)は空売り?罫線チャートの見方
三羽烏(黒三兵)とは何か
三羽烏(さんばがらす)といえば、一般的には三人衆と同じような意味で使われることもありますが、投資の世界では株の売り(空売り)のサインとして有名です。
三羽烏とは、黒三兵(くろさんぺい)ともいい、株価が3日連続して日中に値下がりし陰線となることです。
有名な罫線(チャート)についての解説書である「酒田五法は風林火山」によれば、三羽烏の条件は以下のように示されています。
三羽烏の条件
・1ヶ月以上相場が上申していること
・陰線が3本ツタイで連続すること
・最初の陰線は上放れではないこと
酒田五法は風林火山より引用・抜粋
三羽烏の出現は、崩落の前兆であって、1ヶ月以上下落相場が続くとされます。
典型的な三羽烏の罫線・チャート
日経平均株価の2000年4月に三羽烏が成立したときの株価チャート(グラフ)です。
三羽烏のサインから1ヶ月以上に渡り株価が下落しているのがわかります。
検証のための成立条件の数式化
三羽烏が本当に株価の暴落の前兆であり、株や為替の売りのサインになるかを検証してみます。
勝率や利益を数値で検証するために、三羽烏の条件を数式としてあらわしてみます。
まず、「陰線が3本連続する」の部分は
・1日前の終値が1日前の始値よりも低い
・2日前の終値が2日前の始値よりも低い
・3日前の終値が3日前の始値よりも低い
となります。
次に、「ツタイで連続する」の部分ですが、
「ツタイ」というのは連続して順次下落していく陰線のことです。
・1日前の終値が2日前の終値よりも低い
・2日前の終値が3日前の終値よりも低い
と定義できます。
なお、「酒田五法は風林火山」では、三羽烏の例として具体的に挙げられているのは、始値と終値の実体部分が重なっているものになっています。
ただ、それを条件とすると、サインの数自体が減ってしまいますし、実際に検証してみた結果、あまり良い成績とならなかったため、今回の検証では実体部分が上下に離れているものも含めています。
そして、「最初の陰線は上放れではない」という条件は
・3日前の始値は4日前の終値以下である
とします。
残りは「1ヶ月以上相場が上申していること」ですが、
これについてはいろいろな形で定義できますが、ここでは厳しめに
・4日前の終値は4日前から数えて、それ以前の過去20日間で最も高い
としてみます。
三羽烏の売買成績の検証
では、以上の条件をもとに、三羽烏が形成された場合、その後の株価や為替がどうなるかを検証してみます。
検証1:日本株
まずは日本株についてです。
日本を代表する株価指数である日経平均株価で上記の三羽烏の条件を満たしたときに、翌日の始値で新規に売りのエントリーを行った場合の売買成績(勝率・利益)は以下のようになりました。
表はそれぞれの日数経過後の始値で手仕舞い(イグジット)した場合の検証結果をあらわしています。
どの日数も総損益がプラスとなっており、なかなかいい売買成績となっていますね。もう少し条件を詰めれば、トレードも可能な感じです。
日経平均株価の三羽烏の形成は売りサイン
検証2:米国株
次に、アメリカの株価指数であるS&P500で、三羽烏の条件を満たしたときに、翌日の始値で新規売り(エントリー)をした場合の売買成績(勝率・利益)です。
1993年2月から2018年6月のS&P500における三羽烏に基づいて売り取引を行った場合の検証結果です。
どの期間でも総損益がマイナスとなっていますので、売り(ショート)から入るのは良くないようですね。
そこで逆張のサインとしての可能性を確認してみます。
すると、5日後などの短期では勝率もまずまずですし、小さいですが利益も出ているのがわかります。
プロフィットファクターが高くないので直接の使用には耐えませんが、三羽烏は米国株については、本来とは逆に、逆張の買いを示唆するものとして考えると良さそうです。
S&P500の三羽烏の形成については逆張の買いを意識する
検証3:FX(東京ドル円)
東京ドル円(USDJPY)において、三羽烏の条件を満たしたときの売買成績です。ここでは円高方向を下落として検証しています。
1996年1月から2018年6月までのFX(東京ドル円)での三羽烏のサインをもとに売りを行った(円高に賭けた)場合の検証結果です。
ドル円は変動(ボラティリティ)が小さいので、株に比べ総損益は小さくなるものですが、あまり有意な結果とはなっていませんね。
一応、逆方向の買いを行った(円安に賭けた)場合の検証結果もみてみます。
こちらも望ましい結果とはなっていません。
FX(東京ドル円)の三羽烏はスルーする
以上が三羽烏の検証結果です。
👦「日経平均についてはもう少し深堀りしてみる余地がありそうですね」