アメリカ雇用統計の株価への影響|前月の雇用統計と米国株の値動きを検証

米国株投資

米国雇用統計とは

アメリカの雇用統計とは、月に1回アメリカ労働省が発表する雇用と失業に関する統計です。

この米国雇用統計は、米国株やFX(ドル円)のトレードをするにあたりもっとも重視されている経済指標の1つです。

https://biztouben.com/us-labor-statistics-fx/

米国株と雇用統計の関係を検証

labor

アメリカの雇用統計のうち特に重要視されているのが、「非農業部門就業者数」「失業率」の2つの指標です。

ここではこれらの指標と米国株の値動きの関係を検証してみます。

米国雇用統計と中長期のスイングトレードの関係をみるために、前月の雇用統計の結果と翌月の値動きの関係を検証してみます。

前月の雇用統計の結果、非農業部門就業者数が「増加」、「横ばい」、「減少」の3つに分け、また、失業率についても「上昇」、「横ばい」、「低下」の3つに分け、3×3の9つのマトリックスにより翌月の米国株の値動きを分析してみます。

すると、検証結果は以下のようになりました。

(検証期間は2004年3月から2018年7月になります。米国株の値動きは米国を代表する株価指数であるS&P500の値動きでみます。)

前月雇用統計失業率低下失業率横ばい失業率上昇総計
就業者数減少0.1%0.6%-1.2%-0.2%
就業者数横ばい-0.7%n/a-6.6%-3.7%
就業者数増加1.3%2.2%0.8%1.4%
総計0.7%1.3%-0.3%0.6%

米国株と非農業部門就業者数の関係

まず、米国株と非農業部門就業者数の関係についてみます。

前月雇用統計総計
就業者数減少-0.2%
就業者数横ばい-3.7%
就業者数増加1.4%

縦の総計でみると前月の就業者数が「増加」した場合は、翌月の米国株は上昇傾向となるようです。

一方で、前月の就業者数が「横ばい」もしくは「減少」した場合、翌月の米国株は下落する傾向にあるといえます。

米国株と失業率の関係

これに対し、米国株と失業率の関係についてはどうでしょうか。

前月雇用統計失業率低下失業率横ばい失業率上昇
総計0.7%1.3%-0.3%

横の総計でみると前月の失業率が「低下」もしくは「横ばい」の場合、翌月の米国株は上昇するようです。

また、前月の失業率が「上昇」した場合、翌月の米国株は下落する傾向にあるといえます。

米国株と雇用統計の関係のまとめ

以上をまとめると、米国雇用統計において、前月の非農業部門就業者数が増加した場合、または、前月の失業率が低下もしくは横ばいだった場合に、米国株は上昇するといえます。

米国株と雇用統計の関係を利用したトレードの売買成績

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では、これまででみたような米国株と雇用統計の関係を利用してトレードを行った場合の売買成績を検証してみます。

今回は米国株の値動きとして、インデックスであるS&P500に連動するETF(株価指数連動型上場投資信託)であるSPYを買う場合の成績で分析します。(検証期間は2004年3月から2018年7月ですが、雇用統計の発表時期が通常とは異なった2013年10月・11月については検証期間から除いています。)

SPYのバイアンドホールド戦略の売買成績

まずは比較対象として、検証期間中ずっとSPYを保有した場合のバイアンドホールド戦略による売買成績をみてみます。SPYのバイ・アンド・ホールド

総損益139%
総取引数3627
勝率55.1%
プロフィットファクター1.11
最大ドローダウン-70%

(当日の終値から翌日の終値までを1回の取引として集計しています。)

総損益はプラスですし、(1日あたりの騰落率をしめしている)勝率もまずまずですが、2008年のリーマンショックのときの大幅な下落を受けて最大ドローダウンが70%と非常に大きくなっています。

前月の就業者数が増加した場合の売買成績

では、同じ期間に米国雇用統計で前月の非農業部門就業者数が増加した翌月に米国株(SPY)を買った場合を検証します。

総損益124%
総取引数1823
勝率55.5%
プロフィットファクター1.23
最大ドローダウン-27%

最大ドローダウンは27%と大きく改善されています。

総損益は少し小さくなりましたが問題ない水準だといえます。

前月の失業率が低下・横ばいの場合の売買成績

次に、米国雇用統計で前月の失業率が低下または横ばいだったときの翌月に米国株(SPY)を買った場合を検証してみます。

総損益126%
総取引数2558
勝率55.6%
プロフィットファクター1.17
最大ドローダウン-14%

総損益はほぼそのままに、最大ドローダウンが14%とさらにおおきく改善しています。

レバレッジやアセットアロケーション(資産配分)、許容できるトレードの頻度などにもよりますが、このままでも十分実用レベルにあるといってもいいと思われます。

前月の就業者数が増加し、かつ、失業率が低下・横ばいのときの売買成績

最後に、米国雇用統計で前月の非農業部門就業者数が増加し、かつ、前月の失業率が低下または横ばいだったときの翌月に米国株(SPY)を買った場合についても確認のために検証しておきます。

総損益95%
総取引数1255
勝率56.3%
プロフィットファクター1.27
最大ドローダウン-15%

失業率だけでトレードする場合と比べて、プロフィットファクターが改善していますが、総損益は小さくなっています。

最大ドローダウンはわずかですが悪化しているため、単体のシステムとしては失業率だけで判断すればいいと思われます。

ただ、総取引数が失業率だけで判断した場合と比べ、ほぼ半減しており「休むも相場」がしっかりできているともいえます。

SPYの買いを行っていないときに、たとえば金の買い円の買いなどを行うシステムとあわせてみると面白いかもしれません。

(まとめ)米国株と雇用統計の関係を利用したトレードのルール

米国雇用統計で前月の失業率が低下もしくは横ばいだった場合の翌月に米国株(SPY)を買う(前月の失業率が上昇だった場合はトレードは休み)

(ほかのディフェンシブなシステムと組み合わせる場合は、前月の非農業部門就業者数が増加し、かつ、前月の失業率が低下もしくは横ばいだった場合の翌月に米国株(SPY)を買ってもよい)

米国株と米国雇用統計の関係の検証は以上になります。