株式の売られすぎの指標とは|RSI、ストキャスティクスなど

株式投資

株式の売られすぎを意味する指標とは

株式投資において株の売られ過ぎを表す指標や指数には、RSI、ストキャスティクス配当利回り、PBR、騰落レシオなどがあります。

これらの指標のうち、配当利回りとPBRは決算および貸借対照表といった財務諸表から得られる財務データに基づいた指標です。

そして、騰落レシオは市場全体の値動きから売られすぎを判断する指標(指数)になります。

また、RSIやストキャスティクスなどのオシレーターは個別の株式の株価や株価指数の値動きから売られすぎかどうかを判断する指標になります。

以下では、これらの株式が売られすぎかどうかを示す指標についてわかりやすく説明します。

財務データによる株の売られすぎの指標

企業のファンダメンタル(基礎的条件)である財務データに基づいて株の売られ過ぎを判断する指標には配当利回りとPBRがあります。

配当利回りで株の売られすぎを判断する

配当利回りとは、株価に対する配当金の割合を表すファンダメンタルズ分析における指標の1つであり、配当金を株価で割って求められます。

配当利回り=配当金÷株価×100(%)

株価の下落は、配当利回りの計算式の分母が小さくなることから、配当利回りの値は大きくなります。

そのため、配当利回りの上昇が売られすぎのサインとなります。

株式市場が売られすぎかどうかを判断する場合、市場全体の配当利回りである平均配当利回りを利用します。

たとえば、東証1部の予想配当利回りが過去の株価の下落局面の底と比べて同水準に高ければ、株価の底入れが近いといった形で判断します。

具体的に予想配当利回りがどの水準になったら売られすぎかは、市場の利子率との関係もあるため一概にはいえません。

2008年のリーマンショック以前は、予想配当利回りが1%を超えると売られすぎと判断されましたが、金融緩和による低金利が浸透したリーマンショック後には最高で予想配当利回りが3%を超えたこともあります。

そのため、配当利回りを売られすぎの指標として使う場合は、配当利回りの値の過去の動きを確認することが必要です。

PBRで株の売られすぎを判断する

PBR(ピー・ビー・アール)とは、英語の呼び方であるPrice Book-value Ratioの略であり、日本語では株価純資産倍率といわれる指標です。

PBRは純資産に対する株価の割合を表すファンダメンタルズ分析における指標の1つであり、株価を純資産で割ることで求められます。

PBR=株価÷純資産(倍)

純資産とは、会社の決算書にあたる財務諸表の1つである貸借対照表(B/S)の項目です。

純資産は、総資産から負債を引くことで求められるため、会社の清算価値を表す金額になります。

純資産=総資産-負債

この会社の清算価値を意味する純資産により株価を割ることで、現在の株価が清算価値の何倍となっているかを判断することができます。

一般的にPBRが1倍を下回る場合、現在の株価が清算価値を下回ることになるため、株価は割安と判断され、株式が売られ過ぎであることを意味します。

ただし、純資産の構成要素である総資産の中には、繰延資産といった清算価値のない資産もあるため、PBRを利用する場合は注意する必要があります。

株式市場が売られすぎかどうかをPBRにより判断する場合は、配当利回りと同じく市場全体の値を利用します。

リーマンショック後の東証1部のPBRは0.7が最低です。(なお、日経平均を基準とした日経平均採用銘柄のPBRのリーマンショック後の最低値は0.8台になります。)

このようにPBRは理論的には1倍を下回れば、割安で売られすぎと判断されますが、実際はPBRを1倍を下回ることはよく見られるため注意が必要です。

市場全体の値動きによる株式の売られすぎの指標

市場全体の値動きを基に売られすぎかどうかを判断する指標には騰落レシオがあります。

騰落レシオで株の売られすぎを判断する

騰落レシオとは、市場全体の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比を表す指標です。

25日騰落レシオでは、過去25日間の値上がり銘柄数を過去25日間の値下がり銘柄数で割ることで計算します。

25日騰落レシオ=過去25日間の値上がり銘柄数÷過去25日間の値下がり銘柄数×100(%)

騰落レシオが100%の場合、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が同じ数であることを意味するため、騰落レシオが100%を上回れば株式市場は上昇局面であり、騰落レシオが100%を下回っていれば株式市場は下落局面であると判断されます。

一般的に騰落レシオが70%前後の値をつけた場合、株式市場は売られすぎであることを意味します。

騰落レシオを売られ過ぎの指標として利用する場合、騰落レシオは70%前後の数字となったあと上昇しているのに株価は下落するというダイバージェンスといわれる乖離現象(逆行現象)が生じることもあるため注意します。

株の売られすぎを示すオシレーターとは

オシレーターとは、株価の値動きから計算されるテクニカル分析の指標であり、株式投資において売られすぎや買われすぎを表す指標として用いられます。

このオシレーターの代表としてRSIストキャスティクスがあります。

RSIにより株の売られすぎを判断する

RSIとは、英語のRelative Strength Indexの略であり、日本語では相対力指数といわれます。

RSIは一定期間(たとえば14日間)の株価の上昇幅の平均と下落幅の平均から計算される指標です。

RSIは0%から100%の値をとり、RSIが20%(または30%)以下の場合、売られすぎと判断されます。

RSIについても騰落レシオと同様にダイバージェンスとなることがあるため、ダイバージェンスを確認してからトレードすることも一つの手段だといえます。

ストキャスティックスにより株の売られすぎを判断する

ストキャスティクスとは、英語でStochastics(またはStochastic oscillator)と表されるオシレーターの一種です。

ストキャスティクスは、過去の株価の最高値と最安値の差である変動幅(レンジ)の中における現在の株価の位置を示す指標です。

ストキャスティクスには%K、%D、SDなどの複数の指標を利用しますが、いずれの指標も20%以下が売られすぎのラインであるとされます。

ストキャスティクスについても逆行現象(ダイバージェンス)が生じます。

ダイバージェンスは短期的にはダマシとなるため、他の指標と組み合わせるとか、ダイバージェンスを待ってトレードするなど上手く利用することが必要になります。

株式市場における株の売られすぎを表す指標のお話は以上になります。