株式会社とは?株式会社の定義と3つの特徴|会社法で株式は出資者の地位

経営学

株式会社とは

株式会社とは、会社法により設立が認められている4つの会社のうちの1つです。

株式会社は、合名会社、合資会社、合同会社という他の会社法上の会社に比べ一番重要な会社になります。

たとえば、経営学で会社の戦略とか組織といった場合、特に指示がなければ、通常は株式会社のことを指します。

この株式会社の定義と3つの特徴、そして株式会社の起源についてわかりやすく説明します。

会社法における株式会社の定義

会社法における株式会社の定義は以下のようになります。

株式会社:社員の地位が株式という形をとり、間接有限責任社員のみからなる会社

まず、「社員の地位が株式という形をとり」という言葉の意味を考えます。

そもそも、株式会社という仕組みを考え出した目的というのは、世の中に散らばっている小さなお金を集めてきて、それで大きなお金にして、大きなビジネスを行うことにあります。

この株式会社の目的である小さなお金を集めやすくするため、株式会社では社員の地位を「株式」というものに細かく分けました。

細かく分けることで、出資しやすくしているということです。

たとえば、「1口100万円から出資できます」というのと、「1口1万円から出資できます」というのでは、どちらが世の中に散らばっている小さなお金が集まりやすいかといえば、当然「1口1万円から出資できます」の方になります。

このように出資の口数、単位数を細かく分けることで出資をしやすくしているのが株式になります。

つまり、出資者の地位を細かく分けて細分化することで出資をしやすくしたのが株式というものになります。

ですから、「株式」の定義は「細分化された(出資者である)社員としての地位」ということになります。

これが株式会社の定義の前半部分、「社員の地位が株式という形をとり」ということの意味になります。

一方で、株式会社の定義の後半部分、「間接有限責任社員のみで構成される」というのはどういういみでしょうか。

有限責任」については、下記の記事でもみたとおりです。

https://biztouben.com/company-amp-llc/

出資の範囲内でしか責任を負わないというのが有限責任の意味になります。

では、「間接」というのはどういう意味でしょうか。

間接有限責任の反対は直接有限責任ですが、ここでいう直接・間接というのは、「債権者から直接請求されるか、されないか」という意味です。

どちらも有限責任ですから、出資額を限度とした責任に限られる点は共通しています。

ただし、直接有限責任の場合、「出資額分の責任はちゃんと果たせよ」ということを債権者から直接請求されうることになります。

一方、それすら請求されないのが、間接有限責任になります。

どちらが世の中に散らばる小さなお金が集まりやすいかといえば、債権者からうるさいことをいわれない間接有限責任の方が、出資者にとってみれば気楽ですね。

そういった意味で、気楽に出資できるように、小さいお金が集まりやすい方が選ばれているんだと考えておきます。

なお、株式会社における出資者のことを株主といいます。

株主というのは、株式を所有している人を意味します。

では、どうやって株式を所有するかといえば、その会社の株(株式)をお金を払って買うことで株式を所有します。

このお金を払うときに、出資の責任を株主はすでに果たしているので、そのあとで債権者から出資の責任を果たせと請求されることがないわけです。

そのため、株主は間接有限責任であるとされることになります。

ちなみに、株式会社の社員である株主には、会社の業務執行権は認められていません。

株式会社の株主は、世の中に存在している小さいお金を出しただけの人であり、会社を経営する能力もありませんし、またその意思もないからです。

そのため、会社の社員に原則として認められている業務執行権が、株式会社の社員である株主には認められないことになります。

株式会社の3つの特徴

では、この株式会社の3つの特徴について説明します。

株式会社の3つの特徴その1:株式の証券化

まず、1つ目の特徴ですが、株式会社の社員の地位である株式は証券化されています。

この証券(=紙切れ)のことを株券といいます。

株主は出資者です。この出資者の地位である社員の地位のことを株式といいます。

この株式は目には見えない法律上の権利です。

民法的な表現でいえば、会社の所有権の共有持分というイメージになります。

このような権利はそのままでは売買がしにくいので株券という紙の形に証券化されていますよということです。

それが1つ目の特徴である社員の地位である株式が証券化されているということの意味になります。

なお、すべての会社が株券を発行しているわけではありません。

株券を発行しない株券不発行という仕組みがあり、この仕組を利用している会社は株券を発行していません。

株式会社の3つの特徴その2:株式譲渡自由の原則

この株券は自由に売買することができます。

それが2つ目の特徴です。

このように株式の譲渡は自由にできることを「株式譲渡自由の原則」といいます。

ちなみに、合名会社の場合、持分(つまり出資者の地位)を譲渡することは自由にはできません。

合名会社の出資者は無限責任社員なので、お互いの信頼関係が大事だからです。

これに対して、株式会社は出資だけでつながっているので、合名会社ほど信頼関係が重視されません。

そのため、出資者の出資による投下資本の回収を優先して、出資者の地位である株式の譲渡を自由に認めているのです。

株式会社の3つの特徴その3:1株1議決権の原則

また、社員である株主は、株主総会という会議に出席して投票できます。

この投票により、株式会社の意思決定に参加することができます。

株主総会というのは、株式会社の最高意思決定機関になります。

この株主総会に株主は参加することができます。

そして、株主は1株につき1つの議決権を持ちます。

これを1株1議決権の原則といいます。

たとえば、会社が全体で100株発行していて、一番の大株主であるAさんが51株持っているような場合、Aさん1人で議決権の過半数をおさえているので、議決権の過半数で議決されるような議案については、Aさんの意見がすべて通ることになります。

つまり、株主1人1人の頭数による多数決ではなくて、どれだけ株を持っているか、どれだけ出資しているかというお金による多数決なんだということです。

お金のことを資本というので、このようにお金で多数決をとることを資本多数決といいます。

これが1株1議決権になります。

以上の3つ、株式の証券化、株式譲渡自由の原則、1株1議決権の原則が株式会社の3つの特徴です。

株式会社の起源

なお、株式会社の起源は 東インド会社だといわれています。

つまり、大航海時代に王様だけではインドまでの航海に必要な資金が出せなかったので、世の中の貴族や商人が持っている小さな(?)お金を集めてきて、それで大きなお金して、インドとの貿易という大きなビジネスを行ったのが株式会社のはじまりだとされています。

東インド会社の設立は1600年ごろですから、株式会社という制度は400年以上の歴史があることになります。

教養としての「会社法」入門

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Posted by みんなの教養