単語3つで世界中の住所をあらわす「what3words」

イノベーション

単語3つで世界中の住所をあらわすベンチャー企業「what3words」

「what3words」とは、たった3つの単語で、世界中の住所をあらわすサービスを提供するロンドンのベンチャー企業です。

世界中を3メートル×3メートルの正方形からなる約57兆個の区画にわけ、それぞれの区画に単語3つからなる名前をつけることで、世界中のどこでもたどり着けるし、モノを届けたりもできるといったサービスです。

各国の言語に対応していて、日本語でのサービスもあります。

スマホのアプリのほかWebサイトでも利用できます。

大きな駅や公園、大学などの広い場所では、単に「◯◯駅で待ち合わせね」と約束しただけでは、すれ違いで会えないなんてこともしばしばあります。

そんなときに、「いま『わすれた・めんせき・すわれる』にいるよ」と3単語を伝えれば、すれ違うことなく会うことができます。

ちなみにこの『わすれた・めんせき・すわれる』は東京の池袋西口にあるマルイ百貨店の入口付近の住所です。

what3words池袋マルイ1F

デパートの入口はいくつもありますから、デパートで待ち合わせをしても上手く会えないことがあります。

そんなときに「what3words」を使えば、迷うことなく会うことができます。

「what3words」の仕組み:世界中のどこでも3単語で

他にはたとえば、『みそしる・あんず・よこせん』だと東京スカイツリーになります。

what3words東京スカイツリー

また、『こうぼ・たのんだ・たなばた』なら沖縄の都市モノレールのゆいレールの那覇空港駅の改札付近になります。

what3words那覇空港駅

さらに、『ようちえん・よくしつ・どれほど』だと東北大学の青葉城方面のロータリー付近をあらわしています。

what3words東北大学

あと、海外の住所も日本語でOKです。

かまきり・のって・ひろま』はアメリカの自由の女神像の王冠あたりを指しています。

what3words自由の女神

「what3words」の画面はGoogle Mapと連携しているので、地図モードのほかに航空写真モードでもみることができます。

「what3words」に世界中から注目が集まる

このような「what3words」に現在世界中から注目が集まっています。

ベンツで有名なダイムラーも「what3words」に出資しており、自動車のナビゲーションへの応用も期待されています。

また、将来的にドローンによる荷物の配送などにも、「what3words」のサービスの適用が期待されています。

ほかにも郵便サービスやバス停への位置情報の利用など「what3words」のサービスは消費者向け(B to C)だけでなく、企業向け(B to B)にも利用されています。

「what3words」の課題:高さには非対応

「what3words」の3単語であらわされるのは緯度・経度に対応した平面の情報です。

そのため、「what3words」の仕組み上、高さに関する情報は含まれません。

ですから、さきほどの『わすれた・めんせき・すわれる』が示すのは、池袋マルイのある地点の情報ですが、それが1階なのか地下1階なのかは示されません。

地下1階をあらわす3単語も『わすれた・めんせき・すわれる』ですし、

what3words池袋マルイ地下1F

地上7階をあらわす3単語も『わすれた・めんせき・すわれる』になります。

what3words池袋マルイ地上7F

ですから、待ち合わせに使うときは、「『わすれた・めんせき・すわれる』の3階ね」などと伝える必要があります。

さきほども述べたように「what3words」のサービスは、将来的にドローンによる荷物の配送のために利用することも期待されていますが、その場合、高さの情報をなんらかの形で補う必要がありそうです。

「what3words」で遊んでみる:3単語の順番を変えるとどうなる?

さきほどの池袋マルイの住所をあらわす『わすれた・めんせき・すわれる』の順番を変えてみるとどうなるでしょうか?

たとえば、『すわれる・めんせき・わすれた』としてアプリで検索してみます。

検索するときは、検索欄で3単語を中点(・)で区切って入力します。

ちなみに『すわれる、めんせき、わすれた』と読点(、)で区切ると検索できませんでした。

『すわれる・めんせき・わすれた』と順番を変えると

what3words海の中にいる

なんと海の中です。

広域でみてみると、東南アジアらしいです。

what3wordsマレーシア

どうもコタキナバルというマレーシアの観光地の海らしいです。

「what3words」の3単語の順番を変えると、住所も変わってしまう仕組みのようですね。

「what3words」の将来:ネットワーク効果を高めるべき

「what3words」のサービスは、FacebookやAmazonのレビューと同じく、典型的なネットワーク外部性が働くビジネスです。

ネットワーク外部性の外部性というのは、経済学の用語で、市場を通さずにいい効果や悪い効果が生じることをいいます。

公害のように市場を通さずに悪い効果が生じること外部不経済といい、教育のように市場を通さずに良い効果が生じること外部経済といいます。

ネットワーク外部性の外部性は、外部経済のことで、ネットワークにもそのようないい効果がありますよということです。

「what3words」の利用者が自分しかいないとすると、「『かまきり・のって・ひろま』が自由の女神なんだって、フフッ」とはできますが、待ち合わせとかには全然役に立ちません。

利用者が増えてネットワークが形成されるにつれて、役立つようになっていきます。

そういった意味で、「what3words」の国内の利用者が増えればといいのにと思います。