FXへの政治の影響|プラザ合意、アジア通貨危機、スイスフランショック、トルコリラ急落

FX・為替相場

FXトレードと政治

FXは金利や物価水準、輸出入などにより変動します。

ですが、それ以外の要素として政治的なイベントによってもFX相場は大きく変動します。

ここでは、このような急激な為替変動をもたらした政治イベントを紹介します。

FXとプラザ合意後の円高

ニューヨークの公園

1985年9月に日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁が行き過ぎたドル高の是正のために話し合いを実施します。

この会議はアメリカ・ニューヨークのプラザホテルで行われたので、そこで結ばれた合意をプラザ合意といいます。

このプラザ合意により、円の切り上げの容認および各国のドル売りのための協調介入が決定されます。

プラザ合意前の為替レートは、1ドル=240円台でしたが、プラザ合意後の1985年末には1ドル=200円まで、円高ドル安が進行します。

この急激な円高のせいで製造業の海外移転が進展します。

その結果、輸出の伸び・卸売物価が前年比マイナスになるという円高不況におちいります。

その後も円高(ドル安)は止まらなかったため、今度はドル安の行き過ぎを防止するため、各国は1987年にフランスのパリでルーブル合意を結び、ドル安を是正しようとします。

ですが、結局、円高ドル安の動きを止めることはできず、1988年には1ドル=120円まで円高ドル安が進むことになります。

FXとアジア通貨危機

タイバーツ

1997年にタイバーツが最初に下落することで起こった経済危機をアジア通貨危機といいます。

アジア通貨危機は震源地であるタイのほか、マレーシア、インドネシア、フィリピン、韓国で大きな影響を及ぼしました。

これらの影響の大きかった国は、高い貯蓄率、健全な財政収支を維持していたものの、民間部門は債務超過の状態だった国が多かったです。

通貨危機当時、タイは自国通貨のバーツをドルに連動させるというドルペッグ制から変動相場制に移行しました。

これによりタイの経常収支赤字は増大することになります。

経常収支の赤字は通貨安の原因となります。

また、当時のタイでは短期資本の流入の急増後、ヘッジファンドが短期資金を国外に移動させたため資金流出が起こります。

この資金流出も通貨が安くなる要因になります。

これに金融システムの脆弱性が加わることで、タイバーツが下落したのがアジア通貨危機の原因になります。

FXとスイスフランショック

スイス

スイスフランショックとは、2015年1月にスイスの中央銀行がこれまで行っていたユーロ/スイスフランに対する永続的な介入の停止を発表したために生じたスイスフランの急激な上昇です。

これまで、ユーロ/スイスフランのレートが1.2を割り込んで、スイスフラン高となるような場合、スイスの中央銀行が無制限に介入し、それ以上のスイスフラン高を防止することを宣言し、実際に実行してきました。

ですが、突然の介入停止の発表により、スイスフランはユーロに対してだけでなく、対円、対ドルなどでも増価し暴騰することになります。

スイスフランは、対ユーロでは、1日のうちに一時は40%超える上昇をみせ、それによって多くの投資家が強制ロスカットや追加証拠金におちいりました。

FXとトルコリラ急落

トルコ

2018年8月にトルコリラが1日に対ドルで20%以上減価し暴落しました。

きっかけはトルコで拘束されているアメリカ人牧師の解放を求め、アメリカのトランプ大統領がトルコに対する追加制裁をツイートしたことです。

そして、その後、アメリカはトルコに対し実際に経済制裁を実施しました。

トルコのエルドアン大統領はアメリカ人牧師の解放を拒否しており、通貨安への処方箋である中央銀行による利上げも禁止しているため、事態は長期化しました。

トルコリラはその後も急落しています。2021年3月にはエルドアン大統領がトルコ中銀総裁を更迭したことを理由にトルコリラは2円を超える大暴落を起こしました。

FXの政治による急激な変動は起こるべくして起こっている!?

通貨安のイメージ

プラザ合意は為替の一方への恣意的な誘導、アジア通貨危機は経常収支赤字と資本流出、スイスフラン・ショックは為替介入政策の転換、トルコリラ急落は自国に対する経済制裁と外国とのトラブルというように、それぞれの為替(FX)の急変動の理由となった政治的な出来事はさまざまです。

ですが、これらの政治イベントはすべてきっかけにすぎません。

上記のすべてのケースできっかけとなる政治イベントが起こる前から、為替(FX)の変動の理由となるような変動の圧力は、マグマのようにたまっていたといえます。

プラザ合意の10年以上前の1971年にはニクソン・ショック(ドル・ショック)によって、金とドルの交換停止されています。

そして、その後のスミソニアン合意では、ドルの切り下げにより固定相場制の維持を図るとともに、円の切り上げが実施されています。

ですから、円の切り上げの圧力はプラザ合意以前から蓄積していました。

また、タイはアジア通貨危機以前から慢性的な経常収支赤字の状態でしたので、変動相場制への移行による経常収支赤字の拡大はきっかけにすぎません。

そして、スイスフランは、資金の逃避先として買われる傾向がずっと続いており、資金流入が続いていたことから、スイス中銀が介入をやめれば、すぐさま暴騰する状態にありました。

トルコリラについても、トルコも慢性的な経常収支の赤字が続いており、通貨安になる素地はもともとあったといえます。

このように経常収支などの資金移動に注目すれば、通貨(FX)の暴落や暴騰は、なるべくしてなっているともいえます。

投資機会とのトレード・オフになりますが、経常赤字国の通貨は買わない、資金流入が続いている国の通貨は売らないといったルールが突発的な政治イベントによる急激なFXの為替変動リスクを避けるためには必要だと考えられます。