個別株投資の運用成績はインデックス投資に勝てない?個人投資家にとってのおすすめの運用方法は
個別株投資はインデックス投資に勝てないというのは本当か?
ある調査では、プロのファンドの運用成績がインデックスよりも優れていたのは75%にすぎませんでした。
とすると、個別株に投資し、一部の銘柄群でポートフォリオを組むようなアクティブ運用よりも、インデックスファンドやインデックスに連動するETFに投資するパッシブ運用のほうが望ましいという結論になります。
個別株投資はインデックス投資に勝てないのでしょうか?
個人投資家にとって本当におすすめなのはどちらの運用方法かを考えてみます。
個別株投資とインデックス投資の違い
個別株投資というのは、アップルやGoogle、トヨタや任天堂、テンセントなどの個別の企業の株を購入することです。
インデックス投資というのは、日経平均やTOPIX、S&P500などの株価指数に連動するETFや投資信託を購入することをいいます。
個別株投資とインデックス投資の違いについて、それぞれの投資手法のメリット(長所)・デメリット(短所)を分析することで、相違点をはっきりさせてみたいと思います。
個別株投資のメリット
- 正しい銘柄を選別することで5倍、10倍と株価が値上がりするいわゆるテンバガーを見つけることができる
- 自分の得意な業界・商品知識などを投資に活かすことができる
- 銘柄選び自体が宝探しゲームのようで面白い
個別株投資のデメリット
- 有望な投資対象を選別するには時間・能力などのコストがかかる
- 銘柄の選別が難しい(機関投資家などのプロでも失敗するリスクが高い)
インデックス投資のメリット
- 市場全体の値動きに沿った運用スタイルであるパッシブ運用をすることで運用コストを抑えることができる
インデックス投資のデメリット
- トレーダーにとっての裁量の余地が少なく、投資の面白みに欠ける
これらの相違点が個別株とインデックス投資の違いになります。
銘柄選びのための分析のコストをかけ、予測を外した場合のリスクを負担してでも有望な個別銘柄を選択する自信があるなら個別株投資が適しているといえますが、そうでないならインデックス投資のほうが無難だといえます。
個別株投資がインデックス投資に勝てないことは昔から言われている
投資スタンスとして個別株運用とインデックス運用で、インデックス運用のほうが平均的な期待リターンが高くなるということは、チャールズ・エリスの「敗者のゲーム」やバートン・マルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」などの投資に関する歴史的な名著でも言及されています。
その意味で個別株投資VSインデックス投資の勝負の結果はもうついているともいえます。
個別株投資がインデックス投資に勝てない理由
個別株投資がインデックス投資に勝てない理由は以下のようなものが考えられます。
- 個別株運用は売買の頻度が高いため、手数料が多くかかり、インデックス投資よりも運用コストがかかる
- 個別株運用は個々の株の値動きが必ずしも相場全体の値動きと連動せず、相場全体の上昇局面を捉えきれない可能性があり、インデックス投資よりも機会費用が多くかかる
- 個別株投資はまれに会社の倒産や不祥事などで株価が大幅に下落し、運用パフォーマンスを傷つけてしまう危険がある。インデックス投資にもその影響はあるが母数が大きいため、小さなポートフォリオで運用する個別株投資に比べれば影響は小さい。
- 近年では非伝統的な金融緩和政策としてインデックスに連動するETFが直接購入の対象となっている
以上のような理由で、個別株投資のパフォーマンスはインデックス投資を平均的には下回ってしまうことになるわけです。
インデックス投資の種類
一口にインデックス投資といってもいろいろな方法があります。
一番メジャーなのは、日経平均やTOPIXなどの株価指数に連動する株価指数連動型のETF(上場投資信託)を購入することです。また、インデックスファンド(インデックス投信)といわれるインデックスに連動する投資信託を購入する方法もあります。
コスト面からいうとETFよりも投資信託のほうが優れています。投資スタンスとして買ってそのまま長期保有するという単純なバイアンドホールドでいくのであれば、投資信託を購入するのがおすすめです。
それ本当にインデックス投資なの?
このようにETFか投資信託かで運用コストが違ってきますが、投資の対象となるインデックスを何にするかでも投資のパフォーマンスは大きく違ってきます。
日本株だけでいっても日経平均、TOPIXなど違いがありますし、米国株のS&P500、NASDAQ(ナスダック)、ダウ指数などの違いがあります。また、米国以外の外国にも中国の上海総合指数、香港のハンセン指数、インドのSENSEX、ドイツのDAXなど各国の市場にそれぞれのインデックスがあります。
インデックス投資のメリットである大数の法則を働かせるためには、母数となる株はなるべく多いほうが望ましいです。
その意味では、世界全体の株価指数に連動する上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)(証券コード:1554)が最も望ましいとも考えられます。
一方で、最近の株価指数のほとんどは単なる株価ではなく時価総額に連動する時価総額加重平均型です。
ですので、世界的にみて時価総額の大きな銘柄を構成要素としているインデックスに投資すれば、世界全体の値動きを捉えることができるともいえます。世界全体でみたときにもっとも時価総額の大きな市場は当然アメリカですので、S&P500やNASDAQ指数などの米国株インデックスに連動するETF(ティッカーシンボル:SPY、QQQなど)に投資をしておけばいいともいえます。
世界株でなくアメリカ株のETFを投資対象とするリスクは、アメリカの経済的な地盤沈下のリスクです。
アメリカが世界トップクラスの経済大国である状況は当分続くと考えられますが、名目GDPベースでは2020年代から30年代には中国に抜かれることが予想されています。
また、中国以外にもインドネシアやナイジェリアなどの人口大国はGDP基準での経済規模が拡大することが確実視されています。
これらの発展段階にある国々の経済成長の恩恵を取りこぼしてしまうリスクが米国株ETFのみに投資する場合のリスクだといえます。
一方、アメリカ以外の株、つまり日本や中国、インドなどのインデックスに投資するETFや投資信託は、世界全体で見ると一部の地域に特化したインデックスだといえるため、その分リスクが大きくなります。
個別株と違って、倒産はありませんが、地震や政情不安、戦争、貿易摩擦、コロナなどの疫病の流行といったリスク要因のせいで世界全体では株高でもそのインデックスだけ下落するなんていうこともありえてしまいます。
その意味では、個別株投資と似たリスクをとっていると理解した上で、そういった地域・国のインデックス投資を行う必要があるといえます。
インデックス投資のおすすめの方法は
以上のことから、インデックス投資をするのであれば、おすすめは世界株か米国株のインデックスに投資をすることです。
具体的には、長期保有を前提にしたインデックス投資でいえば、NISAやiDeCoなどの税制的に有利な仕組みを利用して、インデックスに連動するETFや投資信託を長期保有するのがおすすめだといえます。
個人投資家にとっておすすめの投資方法は
ですが、やはり世界株であれ、米国株であれ、暴落のリスクはあります。リーマンショックやコロナショックを例にするまでもなく、株式市場というのは、少なくとも10年に一度は暴落すると考えるべきです。
このとき、NISAやiDeCoでは簡単に銘柄の組み換えや現金化するということができませんが、通常の現物株や信用取引でインデックス投資をしている場合、インデックス投資をずっと続けるか、それとも債券やボラティリティ(変動)の小さなデイフェンシブな銘柄に乗り換えたほうがいいのかが問題になります。
一つの方法として、インデックス連動ETFと債券連動ETFを一定のルールに従って売買するという3%シグナル投資法という方法があります。
この方法によれば、S&P500連動型ETFをずっと持ち続けるバイアンドホールド戦略よりも優れたパフォーマンスを残すことができると検証されています。
投資のタイミングも年に4回だけ四半期に一度、機械的に調整するだけなので誰でも同様のパフォーマンスを発揮することが可能です。
詳しい方法は本に書かれていますので、確認してみてください。