財政学とは|公務員試験の財政学|財政学と経済学の違い
財政学の定義
財政学というのは、一言でいうと政府の入ってくるお金である収入や出ていくお金である支出についてのお話が財政学になります。
具体的には、政府の予算や税金、国債などが財政学に関するテーマになります。
公務員試験では財政学は準主要科目です。この財政学について、財政学の内容、財政学と経済学の違いについて解説します。
財政学の内容・体系
まず、財政学の範囲として財政学で何を学ぶのかについて全体像をみてみます。
財政学の範囲(内容)は、
- 財政の機能
- 予算制度【一般会計の歳入(租税、公債制度)、一般会計の歳出、財政投融資】
- 地方財政
- 経済政策と格差の是正【公共財、租税の負担と転嫁、所得分配政策、経済安定化政策】
- 財政事情・財政史【財政赤字・財政改革、公債の負担、財政赤字・財政改革、財政史・経済史、各国の財政事情】
というように分類されます。
①の財政の機能は、財政の役割や学者ごとの考え方の対立についてのお話になります。
そして、②の予算制度では、国の財政の計画である予算についての話です。
国の財政には、国の入ってくるお金である収入と出ていくお金である支出があります。
国の収入の話が、一般会計の歳入とその内訳としての租税、公債になります。
そして、反対に、国の支出についての話が一般会計の歳出です。
財政投融資というのは予算制度の中の特殊な制度のお話になります。
次に、国ではなく、地方の財政としての話が③地方財政です。
そして、④経済政策と格差の是正というのは、最近話題になっている格差の是正などについての話になります。
具体的には、公共財や租税の負担と転嫁、所得分配政策、経済安定化政策などがその内容になります。
そして最後は、最近危ないとよくいわれている国の財政状態の話として、⑤財政事情・財政史があります。
内容としては、財政赤字・財政改革、公債の負担、財政赤字・財政改革、財政史・経済史、各国の財政事情などになります。
これが基本的な財政学の範囲、つまり財政学で何を学ぶのかについての内容になります。
公務員試験の財政学
財政学は公務員試験の経済系科目の1つです。
公務員試験の経済系科目の1つとしての財政学
公務員試験の経済系科目には、主要科目である経済原論のほかに財政学、経済史・経済事情、経営学、会計学、教養科目である社会科学の経済系などがあります。
その中で財政学は、主要科目である経済原論(経済学)や数的処理、法律科目(憲法、民法など)に準ずる重要な科目になります。
また、財政学は国家総合職、国家一般職、国税専門官、財務専門官など多くの試験種で出題されます。
財政学の中でも財政史については社会科学の経済系としても出題がありますので、教養科目だけで公務員試験を受ける場合も準備が必要になります。
公務員試験の財政学の特徴
公務員試験の財政学の特徴は、「おいしい」という点と「必要」という点です。
「おいしい」というのは、公務員試験の財政学は、出題範囲がある程度決まっていて、毎年同じような問題が出題されているため、得点しやすい科目だからです。
また、「必要」というのは、公務員の仕事には必ず財政がついてまわるからです。
公務員の仕事はすべて財政支出で賄われますし、公務員のお給料も財政が負担しています。また、財務省や県の財政課など公務員には直接財政に携わる省庁や部署もあります。
そのため、公務員試験の勉強をしているときだけでなく、実際に公務員になってからも財政は大きな影響があります。
そういった意味で財政学は公務員になってからも「必要」な知識だといえます。
財政学と経済学の違い
財政学は、他の学問・科目との関係でいうと経済学と非常に近い学問です。
というか、かなりの部分は経済学とかぶっているともいえます。
特に、公共財や経済政策については経済学でも出てきますし、財政学でも出てきます。
公務員試験でいうと公共財については(リンダール・メカニズムなど)財政学特有の分野以外は、財政学でも経済学(公務員試験の経済原論)でも出題されます。
また、経済政策についても、多くはケインズ経済学の復習ですので、経済原論と重複する部分は経済原論のほうで勉強しておけば大丈夫です。(ただし、経済政策でも、財政学には、所得分配政策の負の所得税など特有のテーマもあるので、そういったテーマはきちんとおさえておく必要があります。)
ほかにも、ケインズ経済学とマネタリストそれぞれの公債発行とIS-LM分析の知識も財政学と経済学で共通して出題される分野です。
加えて、経済でも財政でも歴史的な問題がでることがあります。
このうち経済史はもちろん経済の歴史についての学問・科目ですが、経済・財政の歴史としては、財政史がメインフレームとなるので、経済財政史という形で、経済系の知識としてまとめて勉強した方が早いといえます。
このように公務員試験での試験科目として財政学と経済学は共通している部分が多く存在しているため、「一粒で2度美味しい」的な意味で財政学は「おいしい」科目だといえます。
一方で、財政学と経済学の違いはというと、財政学は時事的な問題が出題されるという点が経済学(経済原論)とは違いのある点です。
財政学で出題される予算や歳入・歳出などは数字が毎年異なるので、時事的なデータをおさえておく必要があります。
これに対し、経済学(経済原論)は、経済原論では時事的な問題はほとんど出ません。(他の科目である経済事情では時事的な問題が出題されます)
この財政学の時事的なデータが出題される部分は、経済学ではなく時事対策とかぶる部分だといえます。
こういった他の科目とかぶる部分は効率的に勉強することが望ましいです。