RCEPとは|FTA・EPAとしてのRCEPのメリットと課題|TPPとの違いは?
ASEANが提唱したRCEP
RCEPの読み方はアールセップと読みます。Regional Comprehensive Economic Partnershipの略であり、日本語では「東アジア地域包括的経済連携」とよばれています。
RCEPは自由貿易協定(FTA)を複数の国家にまたがって締結することを目指すメガFTAの一種です。
RCEPは2011年にASEAN(アセアン)によって提唱され、2013年から交渉が開始されており、2020年11月15日に署名されました。
RCEPの参加国(加盟国)
RCEPに参加する加盟予定国は、ASEAN(アセアン、東南アジア諸国連合)に加盟する10ヶ国(インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)と日中韓(日本、中国、韓国)3カ国、オーストラリア、ニュージーランドの合計15ヶ国です。(もともとインドを含めて16ヶ国でしたが、2020年11月インドを除く15ヶ国がRCEPに署名しました。)
参加国についてRCEPと同じメガFTAであるTPP(環太平洋パートナーシップ)と比べてみます。
TPPの参加国は、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、オーストラリア、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ベトナムにすでに離脱を表明したアメリカの合計12か国です。
ですので、両方に参加している国は、日本、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランドの7カ国になります。
一方で、RCEPのみに参加している国は、インドネシア、タイ、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー、中国、韓国の8カ国、TPPのみに参加している国は、アメリカを除くとチリ、カナダ、メキシコ、ペルーの4カ国になります。
RCEPのメリット
RCEPの参加国の人口は、世界の人口の約3割にあたります。
また、域内のGDP(国内総生産)も世界全体の約3割の水準です。
このような非常に大規模な広域経済圏に参加することができるのは、日本にとってとても大きなメリットとなります。
また、RCEPが機能すれば、トランプ政権が採用した保護主義・孤立主義に対する反証となるようなアンチテーゼを示すこともできます。
RCEPとTPPの違い
RCEPもTPP(環太平洋パートナーシップ)もメガFTAの一種です。
RCEPはTPPと異なり、経済規模の大きい中国が参加しています。
そのため、経済規模や潜在的な成長性の点では、RCEPの方がTPPよりも優れているともいえます。
RCEPの課題
RCEPの参加国には、発展途上国から先進国まで多岐にわたり、経済の発展度合いに大きな違いがあります。
日本やシンガポールなどの先進国にとっては、知的財産権や投資などでの高いレベルでの合意が望ましいですが、自国産業を保護したい発展途上国にとっては、そのような高いレベルでの合意は必ずしも望ましいとは限りません。
早期妥結のために合意レベルを下げるか、TPPと同等の高いレベルでの合意を目指すかはトレードオフの関係にあるといえます。
そのため、参加国すべてが納得できる合意レベルを見出すことが、RCEPの課題だとされていました。
2020年の合意では、残念ながら中国と並ぶ人口大国であるインドの参加は見送られましたが、日本と中国というアジアにおける2つの経済大国が参加するメリットは大きいといえ、RCEPによる自由貿易の促進が期待されています。