FTAとEPAの違い|TPPはFTA?EPA?

国際経済

FTAとEPAの違い

TPPや日欧EPA、RCEPなど最近、国家間の協定が増えています。

これらはメガFTAとよばれることがありますが、このFTAとかEPAというのはどのような意味でしょうか。

FTAとは

FTAとは、Free Trade Agreementの略で日本語では、自由貿易協定とよばれます。

FTAは2国間または地域間で、モノの関税などを相互に撤廃し、自由貿易を行うための協定になります。

ここでいう地域間というのは、EU(欧州連合、メンバーはドイツ、フランスなどヨーロッパ各国)やNAFTA(北米自由貿易協定、メンバーはアメリカ・カナダ・メキシコ)などの複数の国からなる地域を指します。

FTAのメリット・デメリット

このFTAのメリット(長所)とデメリット(短所)について紹介します。

まず、FTAのメリット(長所)には、貿易創造効果と競争促進効果の2つがあります。

FTAのメリット1:貿易創造効果

貿易創造効果とはFTA域内の貿易障壁の撤廃によって、域内貿易が拡大する効果になります。

FTAの締結によって、域内の関税が撤廃されたり、低く抑えられることで、FTA域内の国の間で以前よりも輸出が伸びて貿易が拡大する効果が期待できます。

FTAのメリット2:競争促進効果

また、競争促進効果とは、市場開放により国内市場への競争圧力が高まって、生産性が高まる効果になります。

FTAが締結されると締結国から安い製品が国内に輸入されてきます。

そのため、競争が促進され、国内の生産者の競争力が高まることが期待できます。

FTAのデメリット:貿易転換効果

一方で、FTAのデメリット(短所)には、貿易転換効果というものがあります。

貿易転換効果とは、競争力のあるFTA域外からの輸入がFTA域内の生産によって代替され、効率的な資源配分が阻害されるという効果です。

FTAの域内の製品には関税がかからない一方、FTAの域外の製品には関税がかけられることになります。

関税を考慮しないフラットな状態で、域外の製品の方が安く競争力があったとしても、関税がかけられることで、域内の製品の方が安くなってしまう場合、輸入されるのは域内の製品ということになります。

その結果、効率的な生産をしている域外の製品が閉め出されることになり、世界全体の経済の効率性が阻害されるおそれがあります。

EPAとは

EPAとは、Economic Partnership Agreementの略で、日本語では経済連携協定とよばれます。

EPAはFTAの要素に加えて、知的財産権や投資なども対象分野に含む協定になります。

そのため、EPAはFTAと比べ、より市場の開放の度合いが進んだ協定だといえます。

TPPなどのメガFTAはFTA?EPA?

日本も参加しているTPP(Trans Pacific Partnership、環太平洋パートナーシップ)はメガFTAの一種とされます。

メガFTAとは、多国間の広域なFTAのことです。

TPPのほか、RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership (アールセップ)、東アジア地域包括的経済連携)、日欧EPAなどがメガFTAであるとされます。

このメガFTAはFTAという名前がついていますが、TPPは知的財産権や投資といったEPAに特有の対象まで含んでいますし、日欧EPAも名前のとおり日本とEU間のEPAですので、実質的には「メガEPA」というべきものもメガFTAとよばれています。

関税の撤廃の経済学的な意味

FTA、EPAに共通しているのは、域内の関税を撤廃するという点です。

この域内関税の撤廃は、経済学的には、自由貿易による余剰の拡大を意味します。

関税を撤廃することで、国内の流通価格は域内の国際価格に等しくなります。

それにより、消費者の利益である消費者余剰が増大する一方、生産者の販売価格の低下により、生産者の利益である生産者余剰が減少します。

ですが、トータルでは消費者余剰の増加の方が大きく、社会全体の余剰である総余剰は増大することになります。

このようにFTA、EPAの促進は経済学的にも望ましいといえます。