会社法の自益権と共益権の違いをわかりやすく|株式の権利

株式投資

株とは何なのか?

株式投資で投資の対象となるのはもちろん株ですが、では株とはいったい何でしょうか。

株式投資をしている人も株って何なのかよくわからないまま取引している人もいると思います。

そこで、株(株式)の定義や自益権、共益権という株主の権利とその違い、そしてインカムゲイン、キャピタルゲインという株を持つ利益について会社法や経営学、経済学で、どのように考えているかをわかりやすく説明します。

株(株式)の定義

株(株式)は、株式会社の社員としての地位のことです。

会社法や経営学では社員は、従業員のことではなく、会社の出資者のことをいいます。

ですから、株の定義は、株式会社の社員、つまり出資者としての地位のことをいいます。

この株を持っている人のことが株主です。

また、株主が持っている株のことを持分ということがあります。そして、ある株主が持っている株の割合を持分割合といいます。

1株1議決権(資本多数決)と株式譲渡自由の原則

会社法上、株式はどのように扱われるか、株式についての原則を説明します。

会社法における株式の原則には、1株1議決権の原則(資本多数決の原則)と株式譲渡自由の原則というものがあります。

1株1議決権の原則とは

株主は株主総会において持っている株式数に応じて、1株につき1票投票することができます。

これを1株1議決権の原則といいます。

この1株1議決権の原則により、株主は会社の意思決定に参加することができます。

この1株1議決権の原則の意味は、株主1人1人の頭数による多数決ではなく、どれだけ株を持っているか、どれだけお金を出しているかというお金による多数決だということを意味します。

このお金による多数決のことを会社法では資本多数決の原則といいます。(この場合の資本というのは、お金の意味になります。)

株式譲渡自由の原則とは

また、会社法により株式の譲渡は原則として自由にできると定められています。

これを株式譲渡自由の原則といいます。

株の譲渡を自由だとしているのは、投下資本の回収を容易にすることで出資をしやすくしているからです。

自益権と共益権:会社法が認める株主の権利

次に、自益権と共益権という会社法上認められる株主の権利について説明します。

1株1議決権の原則(資本多数決の原則)や株式譲渡自由の原則のもと、株主には大きく自益権と共益権という2つの権利が会社法上、認められています。

自益権と共益権の違い

自益権と共益権は会社法上認められる株主の権利という点で共通しています。

自益権と共益権の違いは、株主個人のための権利か、会社全体のための権利かということが違います。

株主個人の自分のための権利が自益権であり、会社全体のみんなのための権利が共益権です。

これらの自益権、共益権について順番にみていきます。

自益権とは

自益権は「自分を益する」と書くように、自分のための権利です。

会社から経済的利益を受ける権利が自益権になります。

自益権の具体例:利益配当請求権

具体的には、会社法が認めている利益配当請求権が自益権の例になります。

会社は毎年毎年ビジネスを通じて利益を獲得します。

その利益を会社の出資者(オーナー)である株主に対し、出資してくれてありがとうということで分配します。

これが利益配当です。

この利益配当を株主の方からよこせと請求できる権利、これが利益配当請求権です。

この利益配当請求権は、株主の経済的利益を追求する権利ですので、自分のための権利である自益権になります。

その他の自益権の具体例

その他の自益権の例としては、新株予約権残余財産分配請求権などがあります。

新株予約権とは、株主が一定の期間内に一定の価格(行使価格)で株式を取得できる権利です。

(ちなみに経済学的には新株予約権は買う権利であるコールオプションの一種です。)

また、残余財産分配請求権とは、企業が解散する際に残った財産の分配を請求できる権利のことです。

これらの権利も株主が自己の経済的利益を追求する権利だといえるため、自益権だといえます。

自益権にはあたらないもの:株主優待

一方で、最近増えているのが株主優待です。

株主優待は、会社の商品やサービス券などを株主の持っている株式数に応じて株主に供与するものです。

この株主優待も経済的利益ですので、自益権の一種だともいえますが、株主優待はあくまで会社が「おまけ」として株主に供与しているものですので、特定の優待を株主の方からよこせというのは原則としては認められないと思われます。

共益権とは

これに対し、共益権は「共に益する」と書くように、みんなのための権利です。

会社の経営に参加できる権利が共益権になります。

会社の経営に参加して会社を良くすることで、みんなの利益になるので、会社の経営に参加できる権利が共益権になります。

この共益権の具体例は、株主総会における議決権があります。

1株1議決権の原則により、株主には株主総会における議決権が会社法上、認められています。

この議決権の行使を通じて、会社の意思決定に参加して、会社の経営を良くすることで、みんなのためになるので、株主総会の議決権はみんなのための権利である共益権になります。

インカムゲインとキャピタルゲイン:株式所有の経済的利益

次に、株を持つことによる経済的な利益についてのお話です。

株式投資をする人というのは、社会貢献とかいろいろとキレイごとをいうかもしれませんが、極言すれば、みんな儲けるために投資しているといえます。

この儲けにあたるものを経営学や経済学では、インカムゲイン、キャピタルゲインといいます。

インカムゲインとは

このようにインカムゲインとキャピタルゲインというのは、株式所有による経済的利益のことですが、まず、インカムゲインというのは、配当による利益のことです。

さきほどの利益配当請求権により得られる利益がインカムゲインです。

インカムというのは、収入なので配当による収入を意味します。

キャピタルゲインとは

これに対し、キャピタルゲインというのは、株価の値上がりによる利益です。

キャピタルという単語は、首都という意味もありますが、ここでは資本とか元本という意味です。

元本が値上がりしたことによる利益がキャピタルゲインになります。

キャピタルゲインにより株が上がる理由

では、どのような理由で株の元本の値上がりであるキャピタルゲインは生じるのでしょうか。

はじめにみたように株の本質は、株式会社の社員としての地位です。

別のいい方をすれば、会社の所有権の共有持分が株のイメージです。

たとえば、会社が100株発行している場合、その会社を100分割した価値が株の本質的な価値になります。

会社は(すべての会社ではないにしても)毎年毎年利益を獲得し、だんだんと大きくなっていきます。

それにともなって、会社の1株あたりの価値も大きくなっていくため、株の本質的な価値も高まっていきます。

1つ1つの会社では赤字の会社もあるため、本質的な価値が減ってしまう株もありますが、1国全体、世界全体で考えれば、大数の法則が働くため、株の本質的価値は必ず増えていきます。

本質的価値が高まったも、短期的には需給要因などほかの要因も絡んでくるため、株価が下がることもありますが、長期的には、株の本質的価値の高まりに比例して株価も高くなっていくと考えられます。

以上が、本質的価値が上がらない債券や金よりも投資対象として株がいいとされる理由ですし、株式投資の中でも、特に市場全体の株価指数に投資をするインデックス投資が有効だとされる理由になります。

ただ、金融危機やバブルの崩壊後には株価の低迷が長期におよぶ場合もあるため、買ってからずっと持ち続けるという単純なバイ・アンド・ホールドよりも、ETFなどのインデックス銘柄を対象にタイミングをはかりながらトレードするマーケットタイマーとして投資する方が個人的には望ましいと考えています。