ペイオフレシオ、プロフィットファクター、勝率 – シストレの売買成績法
シストレの成績の見方
システムトレードにおいてシステムやシグナルの売買成績をあらわす指標には、プロフィットファクターやペイオフレシオなど一般的にあまりなじみがないものが多いです。
ここではシステムトレードの売買成績表にでてくる各指標の意味や見方を解説します。
ペイオフレシオ プロフィットファクター 勝率 – 知っておきたい3つの指標
とりあえずコレだけは知っておきたいシストレの売買成績の見方として、勝率とプロフィットファクター、ペイオフレシオという3つの用語があります。
とりあえずコレだけは知っておきたい基礎用語
この3つの用語の意味を理解するために、まずは売買成績における基礎的な用語を確認します。
総損益額(総純利益・収益額)
総損益額は総純利益、収益額ともいわれます。
金額ベースの勝ちトレードによる総利益と負けトレードによる総損失の差額を指します。
総利益
総利益は、金額ベースであらわした勝ちトレードによりもたらされる利益の合計です。
総損失
総損失は、金額ベースであらわした負けトレードにより失われた損失の合計です。
総トレード数(総取引数)
総トレード数は、総取引数ともいわれ、すべてのトレード(取引)の合計数です。
勝ちトレード数
勝ちトレード数は、トレードの結果が利益となったトレードの数をあらわします。
負けトレード数
勝ちトレード数は、トレードの結果が損失で終わったトレードの数を意味します。
なお、損益ゼロとなったトレードは負けトレードにカウントします。
損益ゼロのトレードを負けトレードに含める理由は、システムトレードの検証では手数料やスリッページを含めないことが多く、検証結果における損益ゼロのトレードは手数料やスリッページを入れれば、損失となるトレードだからです。
手数料とは、証券会社への支払手数料のことです。
スリッページとは、注文した価格と実際に約定した価格の差のことを指します。
平均損益(平均収益額)
平均損益は、平均収益額ともいわれます。
平均損益は、総損益額をトレード数で割った損益額の平均を意味します。
(勝ちトレードの)平均利益
勝ちトレードの平均利益は、単に平均利益ともいわれます。
平均利益は、利益の合計である総利益を勝ちトレード数で割ることで求められます。
(負けトレードの)平均損失
負けトレードの平均損失は、単に平均損失ともいわれます。
平均損失は、損失の合計である総損失を負けトレード数で割ることで求められます。
とりあえずコレだけは知っておきたい3つの用語
シストレの売買成績をみるためにとりあえず勝率、プロフィットファクター、ペイオフレシオの3つを知っておきましょう。
勝率
勝率は、そのシステムやシグナルがどのくらいの割合で利益となるかを意味します。
勝率は、総トレード数に占める勝ちトレードの割合として、勝ちトレード数を総トレード数で割ることで求められます。
勝率はそれ単体でみれば、高いほど望ましいといえますが、勝率が30%とか40%であっても勝てるシステムは存在します。
プロフィットファクター
プロフィットファクターは、絶対値ベースであらわした総利益と総損失の比を意味し、総利益を総損失で割った値の絶対値として求められます。
プロフィットファクターが1.0を上回る場合、総損益額はプラスとなり、プロフィットファクターが1.0を下回れば、総損益額はマイナスとなります。
プロフィットファクターは2.0以上が望ましいとされます。
ペイオフレシオ
ペイオフレシオは、平均利益を平均損失(の絶対値)で割ることで求められます。
ペイオフレシオは損益率とか、リスク・リワード・レシオとよばれることもありますが、損益率は総損益率や収益率の意味で使われることがありますし、リスク・リワード・レシオはリスク・リターン率とよく似ているため、ペイオフレシオと表現したほうが無難だと思われます。
プラスαで知っておきたい売買成績用語
勝率やプロフィットファクター以外にもプラスαで知っておきたい売買成績に関する用語を紹介します。
総損益率(収益率)
総損益率は、収益率ともいわれます。
パーセントであらわした勝ちトレードによる総利益率と負けトレードによる総損失率との差額を意味します。
総利益率
総利益率は、パーセントであらわした勝ちトレードにより得られる利益の合計です。
総損失率
総損失率は、パーセントであらわした負けトレードで失われた損失の合計です。
取引年数
取引年数は、検証対象となった全取引期間の年数です。
取引月数
取引月数は、検証対象となった全取引期間の月数です。
取引月数は、取引年数を12倍することで求められます。
年次損益
年次損益は、1年あたりの損益の合計です。
平均年次損益
平均年次損益は、年次損益の平均値で、年次損益の合計(=総損益額)を取引年数で割ることで求められます。
平均年次損益の標準偏差
標準偏差はデータのブレの幅をあらわす統計上の用語です。
平均年次損益の標準偏差は、年次損益がどのくらいブレるかをあらわす値です。
月次損益
月次損益は、月あたりの損益の合計です。
ある月にいくら儲けたかということですね。
平均月次損益
平均月次損益は、月次損益の平均値で、月次損益の合計(=総損益額)を取引月数で割ることで求められます。
つまり、平均月次損益は、平均でひと月いくら儲けられるかを意味します。
平均月次損益の標準偏差
平均月次損益の標準偏差は、月次損益がどのくらいブレるかをあらわす値です。
標準偏差はデータのブレなので、平均月次損益はトレードのリスクをあらわしているといえます。
平均ポジション保有数(平均建玉数)
分割売買により数回に分けてポジションを持つ場合や資金量に応じてポジションのサイズを変えるようなシステムの場合、ポジションの保有数(建玉数)が変動することになります。
平均ポジション保有数(平均建玉数)は、トレードあたりの平均的なポジション保有数(建玉数)です。
最大ポジション保有数(最大建玉数)
最大ポジション保有数(最大建玉数)は、検証期間中の最大のポジション保有数(建玉数)です。
トレードの平均足数(トレードの平均日数)
トレードの平均足数は、1トレードごとに平均的な仕掛け日数(足数)を意味します。
足数としているのは、週足システムの場合、平均週数になり、月足システムの場合、平均月数になるためです。
ですから、たとえば15分足のシステムの場合は、平均して(トレードの平均足数×15)分間ポジションを保持していることを意味します。
勝ちトレードの平均足数(日数)
勝ちトレードの平均足数は、結果的に利益となったトレードの平均的な仕掛け日数(足数)のことです。
負けトレードの平均足数(日数)
負けトレードの平均足数は、結果的に損失となったトレードの平均的な仕掛け日数(足数)のことです。
最大利益
最大利益は、1トレードにおける利益の最大値です。
1番儲かった(勝った)トレードの利益です。
最大損失
最大損失は、1トレードにおける損失の最大値です。
1番負けたトレードの損失です。
最大連続勝ち取引数(最大連続勝ち日数)
連続勝ち取引数は、連続勝ち日数ともいい、連続して勝ちトレード(勝ち取引)となった回数のことです。
そして、最大連続勝ち取引数(最大連続勝ち日数)は連続勝ち取引数の最大値です。
最大連続負け取引数(最大連続負け日数)
連続負け取引数は、連続負け日数ともいい、連続して負けトレード(負け取引)となった回数のことです。
そして、最大連続負け取引数(最大連続負け日数)は連続勝ち取引数の最大値です。
たとえば、最大連続負け取引数が5ということは、検証結果からして最大で5回連続して負けトレードとなる可能性があることを意味します。
5回連続して負けた場合、心理面でかなりの負担となります。
そのため、最大連続負け取引数は小さいほど望ましいといえます。
他のシステムとの相関係数
他のシステムとの相関係数は、メジャーなシステムや自分がメインで使っているシステムとの相関の度合いをあらわします。
相関係数は1.0から-1.0の間の値をとり、1.0に近いほど他のシステムと同じ成績になり、-1.0に近いほど他のシステムと逆の成績となることになります。
また、相関係数がゼロに近ければ、そのシステムは、他のシステムの成績とは関係のないバラバラの成績を示すことを意味します。
そのため、相関係数が1.0に近いと、たとえ総損益がプラスでも他のシステムと似たような成績となってしまい、そのシステムを利用する意味が薄れてしまいます。
一方、相関係数が低く、他のシステムとの相関が薄いシステムの場合、他のシステムの調子が悪いときは、そのシステムによって他のシステムの不調を補うことができる可能性があるといえ、そのシステムを利用する意味があることになります。
売買成績のグラフをあらわす用語
売買成績はグラフの形であらわした方が視覚的に判断できます。この売買成績のグラフの見方やこのグラフに関連した指標を紹介します。
損益曲線
損益曲線は、累積損益とトレード期間(日、月、年などの日付)の関係をあらわす曲線(グラフ)です。
損益曲線のグラフでは、縦軸は累積損益をとり、横軸はトレード期間をとります。
なお、損益曲線の横軸は累積トレード数を使うこともあります。
この損益曲線がなるべく右上がりでなめらかなシステムが望ましいとされます。
累積損益
トレードを時系列ごとに順番にみていった場合の各トレードの損益額の累積値です。
つまり、時系列順に累積していった損益額が累積損益になります。
この累積損益が損益曲線の縦軸となります。
シャープレシオ
シャープレシオは、リスクとリターンの関係を表す指標であり、シャープレシオが大きいほどそのシステムやシグナルの収益が安定しているといえ、損益曲線はなめらかになります。
シャープレシオは、(リターン-無リスク資産のリターン)÷リスクであらわされます。
具体的なシャープレシオの計算方法はいろいろありますが、ここではリターンは年次損益(または月次損益)、無リスク資産のリターンは0、リスクは年次損益(または月次損益)の標準偏差を使用して計算します。
たとえば、年次損益が10,000、年次損益の標準偏差が20,000の場合、シャープレシオは(10,000-0)÷20,000=0.5となります。
ドローダウン
ドローダウンは、損益曲線が最大値を更新してからの累積損益の落ち込み幅のことです。
つまり、ドローダウンとは、累積損益の最大値からの減少額を意味します。
最大ドローダウン
最大ドローダウンは、ドローダウンの最大値です。
最大ドローダウンは、小さいほど望ましく、損益曲線のグラフが右上がりの場合、最大ドローダウンが小さければ、損益曲線はなめらかになります。
リスク・リターン率
リスク・リターン率は、総損益額を最大ドローダウン(の絶対値)で割った値です。
最大ドローダウン回収期間
最大ドローダウン回収期間は、どのくらいの期間で最大ドローダウンから回復できるかをあらわしており、単位は年になります。
最大ドローダウン回収期間は、最大ドローダウン(の絶対値)を年次損益で割ることで求められます。
たとえば、年次損益が10,000で最大ドローダウン(の絶対値)が5,000の場合、最大ドローダウン回収期間は5,000÷10,000で0.5となり、0.5年つまり半年で最大ドローダウンから回復できることをあらわしています。
フラット期間
フラット期間とは、総損益の最大値を更新してから、総損益が次に最大値を更新するまでの期間のことです。
最大フラット期間
最大フラット期間とは、システムの検証期間中のフラット期間の最大値です。
最大フラット期間が短いほど、売買成績が回復するのに必要な期間が短いことを意味します。
以上がシストレの売買成績表を見るために必要な用語になります。