SPXLの長期保有はアリ?デメリットは?米国株のレバレッジ投資の注意点を長期チャートで分析

米国株投資

SPXLとは

SPXLとは、正式には「DirexionデイリーS&P500ブル3倍ETF」といい、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500の日々の値動きの3倍のパフォーマンスとなるように設定されたETF(上場投資信託)です。

米国株投資の中でも株価指数に連動するように投資をするインデックス投資の対象としてSPXLの人気が高まっています。

同様のレバレッジETFとして、UDOW(Pro Shares UltraPro Dow30)などがあります。

UDOWは、同じく米国の株価指数であるダウ工業株30種平均の3倍になるように設定されたETFです。

SPXLやUDOWのようなレバレッジETFの長期保有の可能性について考えてみます。

SPXLのメリット・デメリット

まずはSPXLなどのレバレッジETFのメリットとデメリットを考えてみます。

SPXLのメリット

SPXLなどのレバレッジ型のETFのメリットは、

  1. 上昇時に高いパフォーマンスを期待できる
  2. 追証の危険がない

ことです。

SPXLはレバレッジをかけているため、ボラティリティ(変動率)が高く、上昇相場において高いパフォーマンスが期待できます。

2008年11月5日に設定されたSPXLは、2018年8月末の時点で1,400%以上値上がりしています。

これに対し、基準となるS&P500は同じ時期に200%程度の上昇にとどまっています。

2008年のリーマンショック直後からスタートとはいえ、10年程度の間に約3倍になるS&P500自体のパフォーマンスがかなり良かったといえますが、SPXLの成績はそれを大幅に上回っています。

そして、SPXL自体にはレバレッジがかけられていますが、あくまでETFですので現物取引として買っている限りはゼロやマイナスになることはありません

S&P500の先物やCFDを利用して3倍のレバレッジをかければSPXLに近いパフォーマンスを達成できますが、先物や証拠金取引であるCFDでは、相場状況次第では資産がゼロやマイナスにおちいり追証が発生してしまう危険性もあります。

そのような追証の危険がないこともSPXLの魅力だといえます。

SPXLのデメリット

SPXLのデメリットは何でしょうか。

SPXLのデメリットは、

  1. 下落時に下落幅が大きくなること
  2. アメリカの株式市場へのアクセスのしにくさ

です。

上昇のときに大きなパフォーマンスを発揮するということは、裏を返せば、SPXLは下落のときは下落幅が大きくなることを意味します。

メリットでみたように、ゼロやマイナスまで下落することはありませんが、相場全体の下落局面ではSPXLの下落幅は非常に大きくなるおそれが高いです。

実際、S&P500はリーマンショックの前後で最高値からの下落幅は57%程度でした。

SPXLはその3倍の勢いで下落するとすると、ゼロやマイナスにはならないといっても、ゼロに近いところまでは下落する恐れがあるといえます。

これは最高値で買うという高値づかみをした場合の話ですが、リーマンショックのようなときにSPXLは保有していたくはありませんね。

また、SPXLはアメリカ市場に上場されているETFです。

最近は日本の証券会社を通じてもSPXLを購入することは可能ですが、日本の個人投資家がSPXLに投資するには日本株に比べるとハードルが高いといえます。

なお、日本の株式市場で米国株のレバレッジ投資をする場合は、NNNYダウブルETF(証券コード:2040)があります。

これはダウ工業株30種平均の2倍の値動きをするETFです。

以上がSPXLなどのレバレッジ型ETFのデメリットだといえます。

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SPXLの長期チャート

SPXLが設定された2008年11月からの長期チャートをみてみます。

2015年8月のチャイナショックや2018年2月のVIXショック時に下落していますが、それ以外は総じて上昇傾向にあるといえます。

レバレッジ型ETFのデメリットとしてあげた下落時の下落幅が大きくなりすぎる点は、チャイナショックやVIXショック程度であれば大丈夫だといえそうです。

米国株のレバレッジ投資の成績をシミュレーションしてみる

SPXLはリーマンショック直後に設定されたETFですので、それ以前のデータがありません。

そこでSPXLの原資産であるS&P500の日々の値動きを3倍することでSPXLが過去の相場でどのように動くかをシミュレーションしてみます。

ここでは1987年6月末から2018年8月末までの期間でS&P500の終値の変動率を3倍することでSPXLの動きを擬似的に検証します。

SPXLの設定は2008年ですから、本当にいい時期にはじまったのがよくわかります。

シミュレーションでは、2018年8月の時点では、2000年につけたインターネットバブル時の最高値に届いていません

仮にインターネットバブルの最高値で買ったとすると、約18年間保有しても損益トントン(損益ゼロ)にならないということですね。

これは非常に大きな懸念材料です。

SPXLの長期保有はアリ?ナシ?

SPXLを長期保有するという投資戦略は有効でしょうか?

ここまでのシミュレーションからすると、ドローダウンが非常に大きくSPXLを買ったまま単純に長期間保有し続けるというバイアンドホールド戦略はおすすめできません

そういった意味ではSPXLの長期保有は「ナシ」といわざるを得ません。

ですが、マイナスにならないため追証のおそれがなく、上昇時に大きなパフォーマンスが期待できるという点でSPXLはとても魅力的な商品です。

その意味では長期保有ではなく、タイミングをはかりながら適宜、相場から出たり入ったりする「マーケットタイマー」的なトレードが必要になると考えられます。

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