企業の国際化とは|国際化の定義と理由|トヨタ、アップルの国際化戦略
企業の国際化の定義
経済のグローバル化にともない、多くの企業が海外に展開しています。
企業が海外に展開することが企業の国際化の簡単な定義になります。
この国際化の意味と例となるタイプについて確認します。
国際化の動機・理由
企業が国際化する動機は、新市場の開拓、低コスト化、貿易摩擦の回避、他社への追随などさまざまな理由があります。
新市場の開拓
新市場の開拓というのは、自社の商品を販売するために中国市場やインド市場、東南アジア市場などに進出するケースです。
最近はどの国に進出する場合も、その国や周辺国の市場を意識するケースがほとんどですので、生産のために進出する場合であっても新市場の開拓の可能性は必ず検討されることになります。
低コスト化
低コスト化は、生産拠点として海外に進出するときに考えられる動機です。
たとえば、昔ユニクロが中国に工場を建てて衣料品を生産したようなケースがこれにあたります。
最近だと、バングラデシュやミャンマーやアフリカなどで製品を生産する企業もあります。
貿易摩擦の回避
貿易摩擦の回避は、主に1980年代の自動車メーカーがアメリカへ進出したときの動機(理由)です。
日米貿易摩擦のため、アメリカでジャパンバッシングという日本叩きが激しくなりました。
そのような貿易摩擦を回避するという理由で、アメリカで現地生産を行ったケースがこれになります。
トヨタ自動車は1985年アメリカのケンタッキー州に工場を建設し、現地生産を行いましたが、これはこのような貿易摩擦を回避するためにやむなく国際化したというのが大きな理由になります。
他社への追随=バンドワゴン行動
他社への追随というのは、バンドワゴン行動といわれる行動です。
バンドワゴン行動というのは、1社が海外で生産を始めると、他社も次々に追随して現地生産に踏み切ることをいいます。
ちなみに、バンドワゴンというのは、パレードの先頭を先導する車のことです。
パレードがバンドワゴンに引っ張られて進むように、1社が海外生産をはじめると、それに引っ張られて他社も追随することを指してバンドワゴン行動とよぶわけです。
ですから、もっとなじみのある表現でいえば、ハーメルンの笛吹き的な効果といえます。
ハーメルンの笛吹きに引っ張られてネズミ(または子ども)がそれに続いていくという行動がバンドワゴン行動になります。
その他の国際化の動機(理由)
以上が企業が海外展開する理由になりますが、ほかにも少子高齢化による国内需要の低迷や円高、高すぎる法人税などを苦にして海外展開する場合もあります。
国際化のタイプ
代表的な国際化のタイプが、垂直的国際化と水平的国際化という2つになります。
垂直的国際化(よくある国際化の例)
まず、垂直的国際化とは、調達・生産・販売という供給の流れの一部を海外で実施するという形の国際化です。
部品を海外でつくって国内で組み立てて世界中に販売するという日本の古き良き製造業の行っていた国際化がこのタイプになります。
また、アップルがiPhoneで行っている国際分業も垂直的国際化です。
アップルは設計やデザインは、アメリカ・カリフォルニア州などで行い、日本や台湾などの部品を使って、組み立ては中国で行い世界中にiPhoneを販売していますが、これは垂直的国際化だといえます。
水平的国際化(国際化の地産地消)
一方、水平的国際化とは、国内で生産している製品と同じ製品を海外でも生産するという形の国際化です。
水平的国際化のイメージは、国際化における「地産地消」です。
地産地消とは生産地の近くで消費をする(または消費地の近くで生産する)ことですが、国際化における地産地消が水平的国際化のイメージになります。
たとえば、トヨタ自動車はヴィッツ(ヤリス)を日本、フランス、中国、タイ、ブラジルなどで生産し、日本やヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸などで販売していますが、これは消費地の近くで生産する地産地消の国際版だといえます。
なお、さきほど国際化の動機のところでみたように、トヨタ自動車をはじめとする日本企業の多くは1980年代中ごろから、主にアメリカとの貿易摩擦を回避するため、現地生産を増やしましたが、これは日本でも生産している車をアメリカでも現地生産するということなので、国際化のタイプとしては水平的国際化になるといえます。