【就職活動】面接で求められる能力・人物像、いらない人材|就活対策

就職活動

就活で企業が求める能力・人物像とは何か?

就職活動で面接を行う企業の人事にとって、求める能力や人物像というのはどのようなものでしょうか。

また、反対に、こんな人はいらないという人材はどのような人でしょうか。

就活に強い企業から求められる能力や人物像について、経営学の理論を使って考えてみます。

面接担当者が欲しがる能力・人物像とは

まず、面接を担当する企業が求める能力や人物像とは、どのようなものがあるかを考えてみます。

コミュニケーション能力の高い人が欲しい

企業で仕事をしていくためには、組織人として周りの人とのコミュニケーションが不可欠です。

そのため、人事担当者が新社会人に求める能力として、コミュニケーション能力というものがあります。

実際の人事担当者に対するアンケートなどでも、新社会人に求められる能力としてコミュニケーション能力は常に上位にランクインしています。

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バーナードの組織論におけるコミュニケーション

このコミュニケーション能力はよく「コミュ力(コミュりょく)」と略されますが、経営学の組織論の論者であるバーナードは、組織が成立するための3つの要素の1つとしてコミュニケーションが必要であると主張しています。

バーナードが定める組織の成立条件である組織の3要素、「共通目的」、「貢献意欲」、そして「伝達(コミュニケーション)」です。

共通目的というのは、文字通り組織共通の目的、貢献意欲というのは、組織のために働きたいという意欲のことです。

そして、コミュニケーションというのは、日本語では「伝達」と表現されますが、コミュニケーションによって、共通目的に向けての個人の貢献意欲が引き出される関係にあるとバーナードは主張します。

こう考えると、コミュニケーション能力というのは、単に意思疎通ができるとか、面接をそつなくこなせるとかということだけでなく、共通の目的に向けて周りのやる気を引き出すというどちらかというとリーダーシップ的な側面を持つものだといえます。

コミュニケーション能力が求められる理由

コミュニケーション能力が必要だといわれると、コミュ力に自信のない人なんかは「チッ、結局、リア充優先か」と思うかもしれませんが、いまの定義からするとコミュニケーション能力の必要性がよくわかります。

バーナード流にいえば、コミュニケーション能力というのは、周りの貢献意欲を引き出し、モチベーション(やる気)を高める能力だということになります。

逆にいうと、コミュニケーションの力がない人というのは、周りのモチベーションを高めない、ひどい場合は周りのやる気を削ぐ人ということになります。

周りの人のやる気を削ぐような人材は、ほかの点でどんなに優秀であっても、一緒には働けませんね。

そういった意味で、周りにいい影響をもたらすようなコミュニケーション能力のある人物像が求められるわけです。

周りのやる気を高めるのは、その人物の経験や知識、技術のようなものだけではありません。

素直だとか、元気だとか、あいさつという点も周りのやる気にいい影響を与えますので、立派なコミュニケーション能力です。

新社会人は知識や経験に劣る分、そのような点が求められることになります。

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面接で採用担当者がいらないと思う人物像

では、反対に人事担当者がこんな人はいらないというのはどのような人でしょうか。

指示待ち人間はいらない!?

採用担当者から求められない人材として、よくいわれるのがいわゆる「指示待ち人間」です。

いわれたことはできるけれど、それ以外のことを積極的にこなすことができないような人材のことを指示待ち人間といいます。

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サイモンの意思決定論と指示待ち人間

この指示待ち人間について、経営学における意思決定の研究によって考えてみます。

経営学で意思決定を研究するサイモンは、人間の意思決定について、定型的意思決定非定型的意思決定の2つががあるとしています。

まず、意思決定というのは、簡単にいえば、どうするかを決めることです。

そして、定型的意思決定とは、プログラム化された意思決定で、常識的・反復的意思決定です。

いわゆるルーチンワークにあたるようなものが定型的意思決定がなされる仕事になります。

これに対し、非定型的意思決定とは、プログラム化されていない意思決定で、新規の問題に対処するための意思決定です。

定型的意思決定とは、プログラム化された意思決定で、常識的・反復的意思決定ですが、この定型的意思決定を行うための技法には、慣習、標準的な業務手続、コンピュータによる情報処理、OR(オペレーションズ・リサーチ)などがあります。

定型的意思決定は、決まりきった処理なので、今までの慣習通りに行っていればいいですし、決まりきった処理はマニュアル化しやすいので、(マニュアル的な)標準的な手続によくなじみます。

また、決まりきった処理はコンピュータは大得意なので、コンピュータ処理に適しています。

最後のOR(オペレーションズ・リサーチ)というのは、「定量的な問題解決法」のことです。

定量的というのは、数字で表せるということなので、これもコンピュータ処理に適していますので、定型的意思決定によく使われます。

指示待ち人間は決まりきった処理をするのは、比較的得意なので、定型的意思決定を要する仕事はよくこなすといえます。

これに対し、非定型的意思決定は、プログラム化されていない新規の問題に対する意思決定です。

非定型的意思決定を行うための技法には、判断、直感、創造性、経営者の選択・訓練、発見的な問題解決技法などがあります。

非定型的意思決定は新しい問題に対する意思決定なので、現場での判断や直感にしたがったり、創造性を発揮するといったことが求められます。

また、経営者レベルでは、経営者の選択の目やそれに対する訓練を実施するといったことが必要です。

そして、最後の発見的な問題解決技法というのは、まだ誰もそれを問題として認識していない状態において、自分で問題を設定して解いていくといった方法です。

いわゆる指示待ち人間は、いわれたことはできるのですが、誰も答えがわからないような新しい問題になると、フリーズしてしまいがちです。

ですから、指示待ち人間というのは、サイモンの文脈でいうと、定型的意思決定には優れているかもしれないけれど、非定型的意思決定には劣るような人材ということになります。

企業人として指示待ち人間がダメな理由

戦後日本は、アメリカに追いつき、追い越せでがんばってきました。

当時は、アメリカというロールモデル(目標)があり、アメリカの成功事例を参考にしてマネしていればよかったので、ある意味やることは決まっていました。

やることさえ決まっていれば、指示待ち人間であっても問題なく仕事をこなしていけます。

ですが、バブル経済が崩壊し、100年に1度といわれるリーマン・ショックにみまわれ、現在ではなにが正解なのか大人たちもわからない状態です。

そういったときは、自分で問題(目標)を設定してがんばっていくという非定型的意思決定における能力が求められることになります。

そのような意味で、決まりきったことや、いわれたことだけならできますという指示待ち人間はいまの時代のニーズが求める人物像にはあてはまらないと考えられます。

ただ、非定型的意思決定の技法である発見的な問題解決技法というのは、「技法」ですから、意識の持ち方やトレーニングで伸ばしていける能力です。

指示待ち人間といわれないためにも、そういった能力は(たとえ指示がなくても)積極的に伸ばしていきたいですね。

以上が、面接で企業が求める人物像(コミュニケーション能力のある人材)、そして、企業からいらないといわれる人物像(指示待ち人間)のお話でした。