バブル崩壊の理由と影響|バブル経済の理由は盲信と過剰レバレッジ

2019年5月19日バブル, ビジネス, 経済学

日本のバブル崩壊の理由と影響

日本におけるバブル景気とは、1980年代から1990年代にかけての土地や株式などの資産価格の上昇と好景気を意味する好景気のことです。

また、バブル崩壊とは、このバブル景気が終了し景気後退期に入ったことを意味しています。

バブル崩壊の理由

バブルをイメージする泡の画像このバブル崩壊の理由は、中央銀行である日銀による急激な金融引き締め政策といった景気の抑制策や固定資産税に対する課税の強化、(現在は停止されている)地価税の創設など土地の取引や保有を抑制する政策を打ち出したことが理由だとされています。

バブル崩壊の影響

このバブル崩壊の影響により、日経平均株価は1989年につけた38,915円という最高値をピークに長期間低迷することになります。

また、土地の資産額についてもバブル崩壊以後の1990年から2002年で1,000兆円も減少したとされています。

このバブル崩壊の影響により、日本経済は失われた20年という低迷期に入ることになります。

バブルが生じる理由

ダンスのイメージでは、そもそもこのようなバブルが発生した理由は何でしょうか。

バブルのときは必ず盲信熱狂があります。

日本のバブルでも土地や株価に対する盲信や熱狂が存在しました。

古くはオランダのチューリップバブルでもみられた現象ですが、「絶対に値上がりする」という投資対象への盲信や熱狂がバブルを生み出します。

その意味で投資対象に対する盲信や熱狂がバブルの理由だといえます。

また、一方で日本のバブル経済の場合は、政府・日銀によるいきすぎた積極的財政政策と金融緩和政策にもその理由があるとされます。

積極的な財政政策も金融緩和政策もケインズ経済学における総需要管理政策にあたり、どちらも景気の低迷期に景気を刺激するためになされる政策です。

日本において政府・日銀が積極的な財政金融政策を実施したのは、ルーブル合意後円高不況に対処するためでしたが、それが好景気となった後も続けられたことが、バブルが拡大した理由となりました。

積極的な財政金融政策がバブルの原因となるメカニズム

では、この積極的な財政政策金融政策、特に金融緩和政策がバブルを生み出すメカニズムを考えてみます。

日銀による金融緩和は(世の中に存在している現金と預金の総額である)マネーサプライを増大させます。

通貨の供給主体である日銀が供給する通貨をベースマネー(ハイパワードマネー、マネタリーベース)といいます。

このベースマネーを使って、市中の民間の銀行は国民に対して貸出を行います。

国民は貸し出されたお金をもとに取引をします。

この取引によって得られたお金はまた銀行に預金という形で預け入れられます。

そして、銀行に戻ってきた預金のうち準備金(法定準備+超過準備)を除いた残りは再び貸出に回されることになります。

この貸出と預金が繰り返されるプロセスのことを信用創造のプロセスといいます。

この信用創造により国の現金と預金の総額であるマネーサプライはもとのベースマネーの何倍にもふくれ上がることになります。

公定歩合の引き下げ(現在は政策金利の引き下げ)などの金融緩和政策を実施すると、マネーサプライが増大しますが、この増えた資金の一部は投資に回されていきます。

投資が増えることで総需要が増加し、GDPにあたる国民所得は増大します。

ですが、金融緩和がいきすぎると増えすぎた資金は、通常だったら投資対象とはなりえないようなものにまで投下されることになります。

日本のバブル期には、資産価格の非常に低い崖地にすら高値がついて、その取得のために融資がなされる例もありました。

同様のケースは、リーマンショックの原因となったサブプライムローン問題でも生じました。

過度の金融緩和によって過剰となった資金はサブプライム層という信用力の劣る人たちへの融資の拡大という形で使用されます。

そして、このサブプライム層への融資は証券化され、世界中の金融機関や機関投資家に売りつけられました。

この過度の信用創造によるマネーの氾濫が100年に一度といわれるほどリーマンショックのダメージを大きくしてしまいました。

あらゆるバブルの原因=盲信と過剰レバレッジ

日本のバブル景気とリーマンショックの両者に共通しているのは、投資対象(土地や株、サブプライムローンなど)への盲信いきすぎた信用創造があったことです。

ここではいきすぎた信用創造の弊害について考えてみます。

信用創造のプロセスは、中央銀行のベースマネーの何倍ものマネーサプライを生み出しますが、この何倍ものという倍数を信用乗数(貨幣乗数)といいます。

この信用乗数のことをベースマネーのレバレッジと表現することがあります。

レバレッジとは、テコの原理の「テコ」のことです。

いきすぎた信用創造とは、テコにあたる信用乗数が大きくなりすぎている状態であり信用レバレッジが過剰な状態です。

信用レバレッジが過剰で信用乗数が大きすぎる場合、バブルの崩壊により信用創造の反対である信用収縮も大きくなります。

信用収縮が生じると貸しはがしや貸し渋りなどがなされ、投資に回る資金が細り、経済はさらに萎縮することになります。

仮にレバレッジが適切な水準なら、信用収縮もそれほど大きくはならず、バブル崩壊のダメージも小さくなります。

バブルというのは崩壊し、ダメージが大きくなってから認識されるものだとすれば、バブル崩壊のダメージが小さい場合、それはバブルとはみなされない可能性が高いです。

そういった意味では過剰な信用レバレッジこそがバブルを生み出し、バブル崩壊のダメージを大きくする一番の原因であるともいえることになります。

バブルの原因となるその他の過剰レバレッジ

テコの原理の画像バブル崩壊のダメージが一番大きくなるのは、日本のバブルやリーマンショックのように一国全体や世界レベルで生じる信用創造のプロセスにおける過剰レバレッジである過度の信用創造です。

一方、より規模の小さい企業レベルや個人のレベルでも、バブルの原因となりうるようなレバレッジがかけられてしまうことがあります。

それが財務レバレッジ負債レバレッジ投機レバレッジです。

この財務レバレッジや投機レバレッジのかけすぎが、企業や個人の活動を原因としたバブルを生み出してしまいます。

企業レベルでのバブルの原因=財務レバレッジ

財務レバレッジとは、わかりやすくいうと借金をしてビジネスをすることで、ビジネスの規模が大きくなる効果をいいます。

つまり、企業の負債比率を変えることでテコの原理が働き、企業の利益率である自己資本利益率(ROE) を変えること財務レバレッジ効果の意味になります。

財務レバレッジが大きくなると、企業の経営規模が大きくなるので儲けも大きくなります。

一方、財務レバレッジが大きい状態で損をする場合は、経営規模が大きくなる分、損失額も大きくなります。

そのため、財務レバレッジが過剰な場合、経営が上手くいっているときはまったくレバレッジをかけない無借金経営に比べ、利益額が大きくなり好業績となります。

ですが、経営が傾くと損失がレバレッジ分だけ大きくなる上に金利の負担も重くなる結果、経営破綻のリスクが拡大することになります。

たとえば、2000年前後のインターネットバブルや2017年・2018年の仮想通貨バブル(ICOバブル)の場合、IT企業やICOを実施した団体が自らの適切な信用力を超えたレバレッジ経営を行った結果もたらされた側面があります。

インターネットバブルや仮想通貨バブルでは、ITや仮想通貨への盲信や熱狂が過剰レバレッジを生み、それがバブルを生むきっかけとなりました。

ですが、たとえ盲信や熱狂があっても過剰レバレッジがなければ、自己資金以上の損をすることはないため、破産や経営破綻のリスクは小さくなります。

その意味では、盲信や熱狂はバブルを生み出す主観的な原因といえるのに対し、過剰レバレッジ(この場合は投資対象側の過度の財務レバレッジ)はバブルを拡大させ、ダメージを大きくする客観的または形式的な原因といえると考えられます。

個人レベルでのバブルの原因=負債レバレッジ、投機レバレッジ

たとえば、住宅ローンの目安は一般に年収の5倍から6倍程度が安心だとされます。

個人が負債を活用し、手持ちの資金以上の取引を行うことをここでは負債レバレッジとよびます。

企業における財務レバレッジの個人版をここでは負債レバレッジとよびます。

多額の住宅ローンを抱えるなど負債レバレッジが大きすぎると、さきほどの企業の財務レバレッジの場合と同じく過剰レバレッジとなってしまいます。

リーマンショックが世界中に影響した理由は、さきにみたように過度の信用創造による過剰な信用レバレッジです。

一方で、サブプライム層の当事者にとっては、(個人の経済力に対して過剰な負債を抱え)負債レバレッジが大きすぎたために、破産したり路頭に迷う結果となってしまったといえます。

また、株式投資やFX、仮想通貨投資の世界でも、信用取引や証拠金取引により、自己資金以上の取引を行うというレバレッジ取引が日常的に行われています。

このような投機の世界におけるレバレッジをここでは投機レバレッジとよびます。

借金をして土地や不動産を買うのが負債レバレッジ、借金をして株や通貨を買うのが投機レバレッジというイメージです。

インターネットバブルや仮想通貨バブルで、投資家が破産したのはこの投機レバレッジのかけすぎが原因です。

その意味でこの投機における過剰レバレッジもバブルが上手くいっている間はそれをブーストするエンジンになり利益を増やす一方、バブル崩壊後は破産などの悲劇を生む原因となってしまいます。

投資対象に対する盲信・熱狂と過剰レバレッジの関係

バブル経済の人の頭の中はお金ばかり以上みてきたように、バブルを生み出す主観的な原因は、土地や株、仮想通貨やチューリップに対する盲信や熱狂ですが、それが大きなバブルへと発展する形式的な原因は、国のレベル、企業のレベル、個人のレベルにおける過剰レバレッジだといえます。

この盲信や熱狂と過剰レバレッジの関係は、車の両輪のような関係にあります。

投資対象に対しての盲信や熱狂があるとレバレッジを大きくしがちです。

その意味では盲信や熱狂は過剰レバレッジの親だといえます。

一方で、危険だとされるレバレッジをかけても利益がでるならば、「これだけレバレッジをかけても大丈夫なんだから次も大丈夫だろう」という安易な盲信や熱狂へとつながります。

その意味ではレバレッジをかけても大丈夫だったという経験(または「あのときこれだけレバレッジをかけていればこれだけ儲かったのに」という皮算用)が投資対象への偏愛ともいうべき盲信や熱狂を生むともいえます。

このように盲信や熱狂と過剰レバレッジは、どちらも相手を生みだす元となる関係だといえるため、車の両輪のような関係にあるといえることになります。

この盲信・熱狂と過剰レバレッジが車の両輪のように機能することで、バブルは生まれ拡大していくのです。